サッカー日本代表と東京五輪に臨むU23日本代表を兼務する森保一監督に、厳しい目が向けられている。1月にタイで開催されたU23アジア選手権でU23代表は、東京五輪イヤー幕開けの公式大会で1勝もできずに敗退。4度目の開催となったこの大会で、初めて決勝トーナメント進出を逃した。

■結果を残せなかったU23アジア選手権。指揮官に課された課題は

五輪ホスト国として大きな屈辱を味わう形となり、森保監督に対して、兼任体制を問う声や解任論まで浮上。そんな中、日本サッカー協会の田嶋幸三会長は、「今まで通り全く変わらない形でサポートしていく」と明言。全面的に森保体制を支持していく方針を示した。1月29日に開かれた技術委員会でも兼任続投で一致。関塚隆技術委員長は「個々の試合に対して意見はもらった。今まで取り組んできた方向性は説明し、理解頂いた。引き続き(森保監督を)サポートしていく結論」と語った。

東京五輪アジア最終予選も兼ねたU23アジア選手権。既に五輪出場が決まっている日本にとっても、貴重な真剣勝負の場に身を置ける最後の公式大会でもあった。だが、結果は1分け2敗と惨たんたる結果。第1戦のサウジアラビア戦に続き、第2戦のシリア戦も1−2で敗れ、早々と1次リーグで姿を消すことが決まった。第2戦では先発6人を入れ替えながら、再び試合終了間際に決勝点を喫す同じような敗戦。「最後の時間帯で苦しくなった時にいかにしのぐかは、試合前から言っていたところ。勝負勘というものを若い選手たちは培ってもらえればと思う」。シリア戦後に敗因を問われた森保監督は、こう答えた。

サウジアラビア戦は、1−1の終盤に自陣で古賀太陽によるミスから失点。3バックの左に入った古賀が、後ろにいた中央の岡崎慎とGK大迫敬介の2人に対し、どっちつかずのパスを送り痛恨のPKを与えた。続くシリア戦では後半42分に、敵陣のゴール前まで攻め込みながらシュートを打ち切れずに鋭いカウンターを食らった。

確かにどちらも試合終盤の試合運びとしては、甘さがあった。だが、今後世界で戦う、ましてや五輪で金メダルを目標とする若い選手に「勝負勘」を植え付けるには、指揮官から明確なメッセージを送ることが必要ではなかったか。そこに監督としての責任は残る。

選手へメッセージを送る手段としては、選手交代も有効だが、森保監督はそれが遅い傾向がある。サウジアラビア戦では、後半11分に食野のゴールで追い付いたものの、1人目の交代は同27分の上田綺世。終盤に勝ち越されたこともあるだろうが、2、3人目を送り込んだのはロスタイムに入ってからだった。送り出された相馬勇紀も田川亨介も、この出場時間で仕事をするのはさすがに厳しい。シリア戦も3人を投入したが、1人目の交代は相手よりも遅い後半22分になってから。酷暑が想定される中、中2、3日で行われる五輪本番を戦い抜くには、交代カードの使い方は一つの重要なカギになる。この点も、指揮官に課された宿題と言える。

森保監督は、五輪世代のチーム立ち上げ時から3−4−2−1を基本システムとしている。ただ、この世代には、久保建英、堂安律、三好康児、安部裕葵、食野亮太郎、旗手怜央ら2列目に豊富なタレントがそろい、A代表と同じ4−2−3−1が有効と考える人も多いだろう。

実際、11月のU22コロンビア戦では、3バックで臨んだ前半は手詰まったが、4バックに変更した後半に日本は流れをつかみ、チャンスも増えた。堂安は試合後に、「5バックの時は、正直言うとうまくいきそうな雰囲気が自分自身もなくて、どうしようかなと考えていた。後半は、前線の選手が増えて、何かしら起きそうな雰囲気はあった」と率直に振り返っている。五輪世代を送り込んだ昨年12月の東アジアE1選手権。日本は優勝の懸かった韓国戦で、3バックで臨んだものの、韓国にシステムを攻略されて手も足も出せずに優勝を逃した。システム論が全てではないが、3バックでは選手個々の能力を最大限に引き出せていないようにも映った。

2/4(火) 7:02配信 ビクトリー
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写真 https://amd.c.yimg.jp/amd/20200204-00010000-victory-000-1-view.jpg