セ、パ両リーグの新人王が26日に発表され、セは2年目のヤクルト・村上宗隆内野手(19)がセの高卒野手では31年ぶりに選出された。記者投票で、阪神のルーキー・近本光司外野手(25)を39票差で破ったが、阪神OBの野球評論家、藪恵壹氏(51)のように「盗塁王のタイトルを獲得した近本の落選は解せない」との異論が出るほどの接戦だった。ちなみに投票に加わった夕刊フジ記者5人のうち、4人は村上、阪神担当記者は近本に投票した。



 持ち味が違うこの2人を比較するのは、確かに難しい。

 「我慢強く試合に使ってくれた(小川前)監督、コーチ、裏方さん、選手の皆さんに感謝の気持ちを表したいと思います」と感激の面持ちで語った村上。2年目の今季は全143試合に出場し、36本塁打(今季セ・リーグ3位)で1986年に新人の清原和博(西武)が記録した10代での最多本塁打記録(31本)を更新。96打点(同3位)も53年の中西太(西鉄)の86を超え、高卒2年目以内最多記録。高卒野手の新人王はセでは88年の立浪和義(中日)以来31年ぶりの快挙だ。

 ただし、三振は両リーグを通じ断トツの184。守ってはセ2位の15失策と荒削り。チームは最下位に終わり、今季限りで辞任した小川前監督が「チームの低迷が彼にとってラッキーに働いた部分もある。優勝争いをしていたら、守備固めなどで代えなきゃいけないシーンもあっただろうから。もちろんツキも実力のうちですけどね」と評した一面もある。

 その点、近本は新人とはいえ、大学、社会人を経ただけあって完成度が高く、阪神のクライマックスシリーズ(CS)進出に貢献。欠場は1試合だけで、長嶋茂雄(巨人)のセ新人記録を61年ぶりに更新する159安打を放ち、36盗塁でタイトルも獲得した。

 藪氏は「解せない。近本が並み居る先輩を押しのけ、盗塁王という個人タイトルを獲得した事実は重い。記者の皆さんは派手な本塁打に目が行きがちなのかもしれないが、部門ナンバーワンという点はもっと評価されるべきではないか」と納得がいかない。

 元大洋監督の夕刊フジ評論家、須藤豊氏(82)も近本に軍配を上げ「決め手は盗塁王。今季セ・リーグ全選手の中で、誰よりも優れた数字を出したことを評価すべきだ」と強調する。

 近本自身は「野球の一番の醍醐味はホームラン。見る人を魅了するし、単純に一番面白いと思う。僕も村上君が新人王を取ると思っていた」と受賞者に敬意を表したが、「本当は新人王が欲しかったので残念」と本音も。今後議論を呼ぶかもしれない。

 それはともかく、近本の同僚で新人の木浪聖也内野手(25)に投票した記者は、規定打席数にも到達しなかった木浪の成績を村上、近本とどう比較したのだろうか。

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