約40万人もの訪日客が見込まれたラグビーワールドカップ。大会組織委員会が仕掛けた試合会場での日本独自の演出に、観客らは「いいね」と親指を立て、満足げに試合を楽しんだ。

 「カン、カン、カン」。選手入場直前には拍子木が打ち鳴らされた。組織委によると、始まりの合図として大相撲の土俵入りをイメージ。続いて和太鼓が、ラグビーと太鼓の勇壮さを融合させた入場曲を演奏した。

 キックオフ時には、「いよーおっ」という歌舞伎の掛け声で日本らしさを演出。試合の合間には、運動会などでおなじみの三三七拍子のリズムで観客に拍手を促し、盛り上げた。

 日本民俗音楽に詳しい岩井正浩神戸大名誉教授によると、三三七拍子は日本独特のリズムで、源流は水田稲作農耕にあるという。岩井さんは「日本の大きな特徴が出ており、日本的なものを海外の方に伝えるのには良いのではないか」と話した。

 組織委によると、前後半のラストワンプレーの際に響くどらのような音は、1年の終わりと始まりを告げる除夜の鐘から着想を得た。プレー中の選手にも聞こえやすいよう音域を加工した。

 試合前には日本文化を来場者に紹介するため、ピッチサイドで地元の特色を生かしたパフォーマンスを実施。札幌でアイヌ古式舞踊、岩手・釜石では伝統芸能の虎舞などが披露された。

 「完璧だ。素晴らしかった」。ウェールズから初来日したアレッド・ウィリアムスさん(28)は、「バンザイ、アリガトウ」ともろ手を挙げ、「日本にはまた来るよ」と試合会場を後にした。


2019年11月02日20時32分
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