2019年のメジャーリーグは、3月の開幕以来、空前の本塁打量産ペースが続き、最終的に史上最多となる6776本塁打が飛び交った。
昨年の5693本から1083本増加し、これまで最多だった'17年の6105本を一気に671本更新した。

チームとしては、ツインズが307本、ヤンキースが306本と史上初めて300本塁打を上回った。
個人では、40本塁打以上を記録した選手が昨年の3人から10人へ、30本塁打以上の選手が27人から58人へと、長距離砲が一気に増える現象が起こった。

その一方で、三振数が史上最多の4万2823個、盗塁数は30球団制になった1998年以降で最少の2280個と、数字上でも野球の質に変化が目立つようになった。

バーランダーが明かした私見。

過去数年、「フライボール革命」「バレルゾーン」などの言葉に象徴されるように、
アッパースイングの打者が増加したことに加え、今季は「飛ぶボール」に変更されたことが、本塁打増の要因と言われてきた。

これに対し、MLB機構側はボールの変更を否定するコメントを残してきたものの、選手間では周知の事実として受け入れられてきた。

これまで、選手の先頭に立って、この問題について意見を残してきたジャスティン・バーランダー(アストロズ)は、ポストシーズンに入ってから、あらためて私見を明かした。

「もしボールが変わったのであれば、選手は知らされるべきだ。
いずれにしても、フィールドに出れば、最終的に我々は同じボールを使うことになる。そこは対等なのだから、我々が望むのはそれだけだ」

今季のバーランダーは、自己最多となる36本塁打を浴びた。もっとも、21勝6敗、防御率2.58と、サイ・ヤング賞の有力候補に挙げられるほどの成績を残しており、言い訳がましく言っているわけではない。

「運動能力を駆使して次の塁を」

「今は、どんな打者でも遠くへ飛ばせる。シングル安打よりも長打が出やすいのだから、それは理解できる」と、
打者のアッパースイングなどに一定の理解を示したうえで、本塁打ばかりを狙う、球界全体の大味な野球スタイルに警鐘を鳴らす。

「個人的には、スモール・ボールが戻ってくるのを見たい。言葉としてスモール・ボールとは言いたくないが、多くの人はスモール・ボールをバントすることだと思っているだろう。
僕は細かい部分で、運動能力を駆使して次の塁を狙い、チームとしてより多くの得点をすることだと思う。我々はホームラン、ホームランでワイワイ騒ぐ、それの最盛期にいる」

ちょうどイチローがメジャーデビューした2001年当時、マリナーズが本塁打こそ少なかったものの、スピードと機動力、鉄壁の守備力で白星を重ね、現在も年間最多記録として残る116勝を挙げた。
その後、'02年のエンゼルス、'05年のホワイトソックスなどはチームカラーとして「スモール・ベースボール」を掲げ、世界一まで上り詰めた。

総観客数は12年前から1000万人以上減。

バーランダーは、さらに具体的なプレーまで例に挙げた。

「一塁に走者がいれば、次の打者が右翼へ打って、一塁から三塁へ進めば、称えられる瞬間。さらに次の打者が犠牲フライを打てば、また別に称えられる瞬間なんだ。
野球というゲームにはいろいろな愛し方があるが、少し別の方向に崩れているから、正しくなってほしいね」

バーランダーの言葉通り、野球の「愛し方」は、選手、ファンによっても異なるだろう。

ただ、今季の総観客数は6849万4752人。史上最多を記録した2007年から1000万人以上減少した。

この重い事実を、米球界はどう見るのだろうか。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191020-00841123-number-base
10/20(日) 11:31配信