塙宣之(ナイツ)×伊達みきお(サンドウィッチマン)「関東芸人はなぜM−1で勝てないのか?」

2019年08月31日
構成/増子信一 撮影/山口真由子 週プレNEWS
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昨年末、M−1審査員を務め、その的確なコメントが評判になった漫才コンビ・ナイツの塙宣之(はなわ・のぶゆき)さんが、集英社新書『言い訳 関東芸人はなぜM−1で勝てないのか』を刊行した。浅草を本拠地として活躍する塙さんにとって、M−1出場は関西漫才の総本山に殴り込みをかけるようなもの。そんな東と西とのお笑いの違いなどにも鋭く切り込んでいる。

ナイツは、二〇〇一年に始まったM−1グランプリに第一回からエントリーし、二〇〇七年には初めて三回戦の壁を破り、準決勝までたどり着いた。残念ながら決勝戦に進出することは叶わなかったが、その年、敗者復活戦から優勝という快挙を遂げたのがお笑いコンビ・サンドウィッチマンだ。

塙さんは、サンドウィッチマンのネタを見たときに、はっきり「負けた」と思ったそうだ。そのサンドウィッチマンの伊達みきおさんをお迎えして、M−1の裏話や現在のお笑い界の状況などを、お話しいただいた。

■サンドウィッチマン登場の衝撃
(中略)


■言葉遊びの笑いは東京手法?

――塙さんは今度の本のなかで、ボケとツッコミのセンテンスが非常に短いこととか、「言い間違い」や言葉遊びを入れるところなど、サンドウィッチマンとナイツのネタが少し似ていると書かれています。

伊達 言い間違いといえば、もうナイツですけど、たしかにぼくらもやっています。まあ、言い間違いというのは、ネタづくりのなかでは王道ですからね。

塙 見たときに、ヤバいな、ちょっとかぶってる、かぶってるというか、おれらがパクったと思われるのは嫌だなと、思ったときがあったんですよ。

伊達 そんなこと思ったことない(笑)。

(中略)

■東京芸人はナイツを目指している

――伊達さんは、関東芸人はなぜM−1で勝てないのかと思われたことありますか。

塙 それ、聞きたいですね。

伊達 ぼくら仙台なので、関東芸人とはいえないんですけれど、まあ、標準語という括りでいえば、いわゆる標準語でM−1で優勝したのは、アンタッチャブルと、ぼくらと......。

塙 トレンディエンジェルですね。あと、九州だけどパンクブーブー。それぐらいかな。数は少ないですね。

伊達 やっぱり関西弁のおもしろさ、「何でやねん!」という文化と、「何でだよ!」とでは全然ニュアンスが変わってくる。ぼくはどうしてもツッコミ目線になりますけど、その違いというのはすごくありますね。やはり漫才というのは関西の文化で、ぼくらはコントに逃げるというかね。しゃべくりは、やっぱり難しい。

塙 中川家さんを生で見ると、達者ですものね。

伊達 達者というか、流れるような関西弁で、東京とか、ぼくらの地元・仙台とかに関西弁の漫才師が来ると、「ああ、漫才だ」ってなりますものね。

塙 関東は、どちらかというと、ちゃんとした形がないとだめで、関東の人が普通にしゃべくりをやると、「人志松本のすべらない話」のフリートークみたいになっちゃう。だから、どうしても何か形をつくるんですよね。オードリーみたいな形とか、ぼくらみたいな言い間違いとか、あとコントに仕立てたりとか。

ただ、ジャルジャルなんかは、関西弁だけど、毎回、形をつくるので関東っぽいというイメージがありますね。
 
とはいっても、たとえば、浅草の東洋館などでは、M−1みたいな目線で舞台を見ている人はまずいませんね。要するに、客がいちいち審査しようとか、こいつ、どうだろうとか、構成はどうとかということは考えない。お客さんは、ただ笑いに来ているだけ。でも、それでいいんだと思うんです。笑いをいちいち分析するというのは、もうプロだけの世界なんですね。
 
まあ、ぼくなんか東洋館の若手とか見ていると、何だ、こいつの構成はって、むかついたりしますけど、でも、お客さんが笑っていれば、それで別にいいんですけどね。

(以下略、全文は引用元サイトをご覧ください。)