「広島5−7阪神」(2日、マツダスタジアム)

必死に食らいついた。阪神のドラフト1位・近本(大阪ガス)の意地と執念が白球に力を与える。菊池涼のグラブをはじいた打球は右翼へ弾んだ。
試合の流れを引き寄せる2点適時打。切り込み隊長の一打で敵地に駆けつけた虎党を熱くさせ、ベンチの矢野監督も両手を高く掲げて感情を爆発させた。

「1試合、1本というのは毎回思っている。1本出たあとは、いいところで打てたらいいと考えているので」

攻めどころを逃さなかった。二回、梅野の一発で先制点を奪い、なお1死二、三塁。アドゥワの投じた初球、141キロ直球を迷わずフルスイングした。
完璧に捉えた鋭い打球は弾丸ライナーで名手を強襲。右翼前へ転がる間に2点を追加した。

猛虎打線に欠かせない存在となっているルーキー。目の前の一戦に対する懸命な姿勢が偉大なる背中を追う。初回に放った右前打と合わせ、今季20度目のマルチ安打となる2安打をマーク。
マルチ安打は年間「52」ペースで、リーグ新人記録の長嶋茂雄(巨人)の「48」をしのぐ勢いだ。

個人記録や成績には無頓着な近本だが、バットには強いこだわりを持つ。「数ミリ太くても握っただけで分かります。
手にフィットするように少し細くしてもらいました」とシーズン開幕以降、グリップ部分を数ミリ単位で削り、改良を施した。
用具提供するヤナセの担当者が「ここまで精密に分かる選手はいない」と話すほど、手に残る感触を重要視する。

厳選した相棒で現在リーグ10位の打率・307。ただ、安打が出ても好機での凡退を悔やむ。
2点リードの七回2死満塁で低めのフォークで崩され、二ゴロに倒れた。「いいところで打てたらもっと試合を楽に進められた。
もっとチャンスで打てるように頑張ります」。求めるのは勝負強さ。チームの勝利へ。勢いそのままに突っ走っていくだけだ。

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6/3(月) 8:30配信