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2019-05-05

世界中で大ヒットを記録した人気漫画『NARUTO -ナルト-』の作者・岸本斉史氏(44)。同作完結後、約4年半ぶりに『週刊少年ジャンプ』(集英社)で自身2度目の新連載『サムライ8(エイト) 八丸伝』を13日よりスタートさせる。原作を岸本氏、作画を『NARUTO』時代のアシスタント・大久保彰氏が担当し、SFをベースに侍の心を描いていくストーリーだ。15年間の連載を終え充電期間も経た今、「リベンジの想いがある」と新作へ意気込む。「完璧を目指すけど、完璧にならない」――理想の作品を究める上で、原作に専念することの意味など、岸本氏の創作哲学に迫った。

■原作専念は“締切とこだわり”の葛藤 15年間の長期連載終え虚脱感も

――『NARUTO』完結後に「次回作はSF作品を描きたい」とおっしゃっていました。今作を描くに至った経緯は。

 元々、侍漫画を描きたい思いがずっとありました。集英社に最初に持ち込んだのは侍漫画なのですが企画が通らなくて、今回はリベンジの想いが込められています。当時の内容とはまったく違うのですが、侍とSFの世界観をあわせようと思ったのは、2つのジャンルが好きだからです。言葉ではなく行動で示す侍の姿に共感を覚えて、漫画として見て感じてもらいたい想いがある。“SF”と“侍”をわけて作品を描くことは、年齢的にもこの後何本も世に送り出せないので「それだったら、混ぜよう」と思ったわけです。

 15年描き続けた『NARUTO』が終わったときの心境は「やっと終わった、解放された、やりきった」というのがありました。けど、「やりきった」と思いつつも「完璧な作品ではない」というのが心の底にあったので、引っかかる部分があった。『NARUTO』を描き終える時期が近づいてきた時に、やっと「漫画の描き方がわかってきた」ところもあって、次回作は反省点を踏まえて作ることは考えていました。

 本格的な構想は『NARUTO』の連載が終わってから2年後くらい。すぐに着手できなかったのは、15年間連載してきて疲れてしまい、正直、考えることや漫画を描く気力がなかったから(笑)。それでも段々と「漫画をまた描きたいな」と思い始めてきましたね。子ども、家族との日常生活を楽しんだ充電期間を経て今作に挑みます。

――今作は原作に専念しています。絵を描きたい想いは薄れてきたのでしょうか。

 僕は絵を描くことが大好きで、漫画家になったのもそれが理由。その想いが強すぎて週刊連載だと僕のこだわり過ぎた絵では締切に間に合わない(笑)。『NARUTO』の時にそのような事例が出てしまい、僕が描いたら周りに迷惑をかけてしまう。週刊ペースではなく月刊ペースでの連載もありますが、それも難しいと考えていて、年4回くらいの季刊ペースでやっとだと思います。描く意欲がなくなったわけではありません。

 今回、作画をしてくれる大久保君は本当に絵がうまくてセンスがいい。『NARUTO』時代のアシスタントだったのですが、どんどん絵が上達していくのを見ていました。あるとき、大久保君の描く「優しさ」「あたたかみ」のある絵を見た時に、認めたくはないけど、正直、心の中で「負けた」と(笑)。彼の絵に嫉妬した部分はありつつも、「彼の絵(才能)をいつか世の中に見せたい」、「彼のためだったら原作者になってもいい」と思えたほどです。

 実は、『NARUTO』の連載当時から、「いつか一緒に組んでやろうよ」という話はしていました。彼はどんな絵を描いていても「あたたかみのある絵」になるので、今作の「侍」要素の部分での斬り合いのシーンであったり、SFのメカニックの要素でも殺伐としないんです。伝えたい世界観があるのでネームは僕が描いていますが、作品が一番輝くことを考えた時、自ら描くより大久保君の絵で読んでもらうのがベストだと思っています。 (続きはソースをご覧下さい)

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