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2019.4.21

累計発行部数が3800万部を突破した人気漫画「キングダム」。実写映画も4月19日から全国公開される。春秋戦国時代の中国を舞台に繰り広げられる壮大な物語を、中国古典の専門家はどう見ているのか。

中国古典が専門の早稲田大学文学学術院の渡邉義浩教授(57)は、キングダムに関する新書を近日刊行予定。専門家の観点からこう語る。

「とにかく面白かった。始皇帝の新たな姿を出したものとして注目すべきものだと思いました」

秦の後に成立した漢の時代になって作られた史記や漢書は、漢が自分の時代を正当化するため、秦については「暴秦」「乱秦」など否定的に書く。

「いままで知られていたのは漢から見た場合の中国統一。秦から見たらこうなのではないかと描いたのが魅力なのでは」

 三国志の舞台である三国時代よりも、春秋戦国時代は重要な変革期だという。

「春秋戦国時代は都市国家連合体から、都市を超えて統一的に国土を支配していく中央集権型の統一国家が出てくる変革期。様々な可能性を求めて諸子百家の思想家が自分の思想を述べ、国のありかたはどうあるべきかということを考えた時代です」

 さまざまな可能性が模索された時代。そういう意味では現在の価値観に近いという。

分裂したローマ帝国は二度と統一しなかったが、中国の国家は三国時代からはじまる南北朝時代までの分裂を除けば、基本的に始皇帝が統一したのと同じ中央集権国家が続いている。

「現代中国のチベット問題などにつながりますが、中国は統一されなければならず、中央集権的な官僚制度で維持されなければならないという『大一統』という考えがあります。それは始皇帝の時に定まりました」

 現代中国の基礎を作ったともいえる始皇帝の理想が、多少のぶれがあっても2千年間続いてきたという現実がある。

「秦の始皇帝が目指したものは何か、功罪は何かというところから中国を見つめ直すことが、巨大な隣人を抱える日本人としては必要になると思います」

歴史背景を知れば、『キングダム』はもっと楽しめる。3代目の担当編集者である「ヤングジャンプ」編集部の大沢太郎さん(35)はこう言う。

「現在53巻ですが、まだ9年分です。始皇帝になるまであと15年かかるので、今の倍はいくのではないでしょうか」
(編集部・小柳暁子)

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★1が立った日時:2019/04/22(月) 11:44:38.34
【漫画】「キングダム」は日本人必読? 中国古典の専門家も絶賛する魅力
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