【ズームアップ甲子園】
第91回選抜高校野球大会(甲子園)は第9日、準々決勝4試合が行われ、第1試合は習志野(千葉)が市和歌山(和歌山)を4―3で下して、初の春4強を決めた。
習志野にとっては2回戦・星稜(石川)との一戦で「サイン盗み」疑惑を掛けられ騒動となった直後のゲームだったが、逆境をはね返しての鮮やかな逆転勝利。
その裏には、表向きは平静を装いながらも影響を受けていたナインの姿があった。

2回から継投したエース・飯塚(3年)が8回無失点の好投を見せると、打線が小刻みに反撃して得意の接戦をものにした。
小林監督は試合後「普段から置かれている状況を受け入れて、それを自分たちでコントロールしようと話をしてきた。選手はいい準備をして臨んでくれた」とナインをねぎらった。

疑惑が大きな騒動となってから最初のゲーム。試合前、ナインは小林監督から「のびのびと、いつも通り野球をやろう」と声を掛けられた。
選手個々が復唱して気持ちを切り替えて臨んだはずだったが、実際は周囲の目にナイーブな16、17歳の気持ちはグラついた。
ある選手は「悪いことをしていないんですが、警察官の方を見てドキッとするみたいな…」と、何とも言えぬ胸中を明かした。

騒動後の報道やネットでの批判的な反応は嫌でも目に入ったという。追い詰められていくのも仕方のないことだった。
早朝8時30分開始の試合ながら観衆は3万7000人。ナインの一人は「自分の一つひとつの動作が監視されているように感じた。
ひょっとしたら疑われているんじゃないかと。そういうふうに感じてしまったのは確かです」と話した。

試合に出場した別の選手は「ずれたヘルメットを元に戻せませんでした。
(ずれたままで)違和感はありましたが、戻そうとヘルメットを触ると、それを怪しいと受け取られてしまうのではないかと…」。
普段通りの精神状態でプレーするのは「難しかった」と他の選手も口を揃えた。

だが、その一方で習志野ナインはこの日の観客の反応に救われた。
ある主力選手は「一般のお客さんから『応援しているぞ!』『がんばれ!』と温かい声援が聞こえてきたのは本当にありがたかった。
ネットの反応とは違って、味方がいるんだと感じた」と顔を上げた。

準決勝進出を決めた後、選手の一人は「いい気分がしない意見や声も正直たくさんあります。でも、逆に燃えています。
温かい声援を下さる方々のためにも胸を張ってプレーしたいです」と語った。
“聖地の声”により元気を取り戻した習志野ナインは、センバツ初制覇に照準を合わせた。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190401-00000012-tospoweb-base
4/1(月) 11:30配信