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2018/11/9


「もう戦う場が違う。なんの報告もございません」
9月の映画イベントで少し寂しそうな調子で言ったのは、お笑いコンビ「130R」のほんこん(55)。板尾創路(55)の相方だ。最近は、板尾とほんこんが組んでお笑いをやっていたことを知らない若い読者もいるかもしれない。

 それほどに今、板尾は俳優や監督としてのイメージが強い存在になっている。

「急に映画監督やってくれというオファーがあって、経験ないですし、最初は断ったんですけど……」
という監督業も3作を数え、よしもとの後輩・又吉直樹が芥川賞を獲得した『火花』では脚本も手がけ話題を呼んだ。

 行定勲監督のロマンポルノ作品では、主演と前張りをはり、テレビドラマでは渋いながらもひとクセある中年役を演じることが多い。

「最近は、スタッフや役者も僕より年下が多くなったので、自分がしたいことより、若い人の気持ちに寄り添うようにしているんです」 
静かにそう語る姿は、老境に差しかかったベテランの大俳優のようにも……。

 芸人時代は伝説ともなっている“天然ボケ”が板尾の武器だったが、その世界に執着もないようだ。

「もう僕らの時代ではないですよ。お笑いで昔できたことが今はできなくなっているので、若手は大変だなとは思います。僕はもう未練はありませんけどね」
そう飄々(ひょうひょう)とした態度を崩さない板尾だが、それぞれの仕事に対するこだわりや熱意を垣間見ることができた。

「板尾さんは、何に興味があってないのかがわからないところが魅力ですね。天然ボケ伝説も数々ありますが、ご本人もそれに気づいていて、自己完結しているようですし……。私も驚きの体験をしたことがあります。板尾さんと映画で共演させてもらったときに、ロケバスの中でアイスコーヒーをすすめられました。

 私はもともとコーヒーが苦手で、水分も控えていたのでやんわりお断りしたんですけど、“そのまま我慢して飲みィ”と飲まされてしまったんです!
おかげでコーヒーを飲めるようになったので感謝していますが、びっくりする出来事でしたね。才能ある方はスゴイと思いました……(笑)」

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