プロ野球は夢のある商売といわれている。活躍すれば20代の若さでも億のカネを稼げる。高級外車を乗り回したり、大豪邸に住むこともできる。

 一方で、成績が悪ければ給料はガクッと下げられる。数字が全ての世界なら当たり前だが、球団と選手が交わす契約のひとつに複数年契約というものがある。

 今年引退した巨人の杉内は2011年のオフ、ソフトバンクでFA権を行使し、4年総額20億円で移籍。契約最終年は6勝に終わり、10月に
股関節の手術を受けると、野球協約が定める減額制限(年俸1億円以上40%)を大幅に超える4億5000万円減の5000万円の単年契約でサイン。
史上最大の減額幅が話題になった。

 阪神の鳥谷も15年から5年20億円の大型かつ長期契約を結んだが、これまで打率3割も50打点以上も皆無。今季はスタメン落ちもあり、
121試合、打率.232、1本塁打、22打点とサッパリ。それでも来季は4億円の年俸が保証されている。

 14年オフにオリックスと4年総額20億円の契約を結んだ金子は今季で契約切れとなり、大幅減額は必至といわれている。15年からは7勝、7勝、
12勝(8敗)、4勝と期待を裏切り続け、「まるで詐欺だ」という声もあった。

 スポーツファンの菅野宏三氏(ビジネス評論家)が言う。

「大相撲は番付が上がれば給料も上がる。大関に昇進した者でも2場所連続負け越しなら関脇に陥落する。学歴は関係なく、中卒でも力があれば
横綱になれる。成績がすべてでわかりやすい世界です。プロ野球の複数年契約は、たいした成績を残さなくても2億だ4億だという選手がいる。
2億円といえば、1部上場会社に勤めるサラリーマンの生涯賃金です。プロ野球は選手寿命が短いとはいっても、給料は成績に応じて支払われなければ、
チケットを買って球場で応援するファンは納得しません。野村(克也)さんは、『複数年契約は百害あって一利なし。やってもやらなくてもカネが
貰えるなら甘えが出るに決まってる』とよく言うが、人間というのはそういうものです。今はFA権があるので、球団とすれば力のある選手を
複数年契約で抱え込めるメリットはあるかもしれないが、選手から緊張感や必死さを奪うことにもつながっているのではないか」

 1年、1年が勝負の世界に複数年契約なんて邪魔なだけだ。

日刊ゲンダイ
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