Bクラスからの巻き返しへ、阪神が矢野燿大2軍監督(49)を来季の1軍ヘッド格として再入閣させる方針であることが5日、明らかになった。「超積極的」な野球で若虎を躍動させ、8年ぶりウエスタンV。6日はファーム日本選手権の巨人戦(サンマリン宮崎)を戦い、来季は金本知憲監督(50)、そして打撃コーチとして新たに招へいする元中日の和田一浩氏(46)との“東北福祉大トリオ”で猛虎復活を進める。

 若虎の意識を根底から変え、ファームで経験し得る最高の舞台まで送り込んだ。矢野2軍監督がついに、巨人とのファーム日本選手権に挑む。そして早くも、次のミッションも浮かび上がってきた。来季2年ぶりに1軍首脳陣に入閣し、ヘッド格を託される見込みであることが判明した。

 球団幹部が「検討しているのは事実です」と明かした。ミスを恐れず積極果敢に挑む姿勢を、わずか1年で若虎にたたき込んだ。8年ぶりウエスタンVという大きな結果を示した将に、今度は1軍ヘッド格として腕を振るってもらう。前日4日にBクラスが決定した1軍の虎を、14年ぶりVへと再度押し上げるべく、金本監督の右腕、参謀を託されることとなる。

 ファーム日本一を決する大一番を目前にしても矢野2軍監督の頭には当然、1軍の“現状”があった。来季さらに1、2軍が一枚岩になる必要があるか、と問われると「一枚岩…」と繰り返し、そこから一気に口調が熱を帯びた。

 「1軍が勝たないと意味がない。1軍が勝つことがみんなの目標。できた部分もできなかった部分もあるんだけど。でも後退は俺はしていないと思う。結果は出なかったけど、チーム全体としてチーム力として下がっているというふうには思わなかった」

 背中を叩き、1軍へ送り出しても、すぐ戻ってきてしまう若手もいた。本来2軍に来てはいけない選手とも、とことん向き合い話し合った。2軍が勝利を重ねる一方で、1軍は結果が出ていなかったが、それでも決して悲観はしていない。シーズン途中から1軍へ送り込んだ北條、陽川、望月、青柳らは確実に進化した姿を見せた。あとは“かみ合わせる”ことさえできれば、明るい将来はあるとみている。

 「若い選手も出始めているし、投手も出始めている。何年か後の将来を考えたときに、先行きが暗いのかと言われたら『あいつも出てきた』、『こんなやつもある』というような話ができるくらいそろってきている」

 1軍はこの日も中日に大敗し、5連敗。2001年以来の最下位すら見えてきた。すでに打撃コーチに和田一浩氏の招へいも進んでいる。金本監督、矢野2軍監督とともに“東北福祉大出身トリオ”の三人四脚で、猛虎の復活を目指すことになる。

 「1軍が残念な結果だった中、頑張れたら」

 ファーム日本一を必ずや勝ち取り、「矢野ヘッド」は来季、虎を真の高みへと押し上げる。

矢野 燿大(やの・あきひろ)

 本名・矢野輝弘。元捕手。1968(昭和43)年12月6日生まれ、49歳。大阪府出身。桜宮高から東北福祉大を経て、91年D2位で中日に入団。98年に交換トレードで阪神に移籍。正捕手として2003年、05年のチームのリーグ優勝に貢献。10年に引退。16年から阪神の作戦兼バッテリーコーチに就任。今季から2軍監督に就任。通算1669試合に出場、打率・274、112本塁打、570打点。ベストナイン3度、ゴールデングラブ賞2度受賞。08年北京五輪日本代表。右投げ右打ち。1メートル81、78キロ。


2018.10.6 05:04
https://www.sanspo.com/baseball/news/20181006/tig18100603180012-n1.html