● ライバル・フジを徹底研究して 「フジがやっていないこと」をやった

 「テレビなんてもうオワコンだ」とささやかれる時代に、高視聴率番組を量産し続けている日本テレビ。他局との違いについて、戸部田氏は以下のように指摘する。

 「日本テレビの方針として感じられるのは、視聴習慣を徹底的に意識し、番組づくりを行なっている点です。だから、番組開始直後は視聴率が悪くても、簡単にテコ入れすることなく辛抱する。数字が上がればなるべく番組上のフォーマットを大きく変えないのが日テレの強さでしょう。
たとえば、1978年から放送が開始され、現在まで続いている『24時間テレビ』なども、構成力がしっかりしているため、毎年ある程度の視聴率をキープしていますよね」(戸部田氏、以下同)

(中略)

● 「ながら見」の視聴者にウケる ワイプとテロップの多用

 今の日本テレビが好調な理由は、バラエティ番組によるところが大きい。特に日曜夕方の『笑点』から始まり、19時の『THE 鉄腕DASH』、20時の『世界の果てまでイッテQ!』、21時の『行列のできる法律相談所』という編成は、圧倒的な視聴率を誇る。

 戸部田氏によれば、その中で、もっとも日テレ的な番組といえるのが『行列のできる法律相談所』だという。
 「これは元日テレの岩崎達也さんも指摘されていますが、島田紳介が引退しても、唯一続いているのが『行列のできる法律相談所』。つまり、大御所タレントに頼らずとも、企画の構成がしっかりしていれば、以前と変わらずに視聴率を取れることを証明したといえるでしょう」


● 「高視聴率番組は改編しない」が 裏目に出る可能性も

 「4年連続視聴率3冠」に輝き、最強に見える日本テレビだが、実は数字が徐々に落ちているのも事実だ。

 特に、これまで強かった朝の番組の人気にも陰りが見え始め、今年の9月で「PON!」が打ち切りとなることが発表されている。戸部田氏はこの状況を以下のように指摘する。

 「ここ数年間は、年間視聴率に大きなアドバンテージが出る朝、昼の番組が強かったのですが、それが今や日本テレビのウィークポイントになっています。朝の番組は『視聴習慣』、つまり、いつもこれを見るという習慣が出来上がっている人が多いため、『PON!』の後継番組がいきなり高視聴率を取るのは難しいといわれています。なので、ここは不安材料でしょう」

 では、他局が日本テレビの脅威となるのか。戸部田氏は「ここ2〜3年は、まだ日本テレビがトップを維持するとは思う」と前置きした上で、こう分析する。

 「もちろん長年、視聴率がいい番組でもマンネリ化は避けられません。なので、いつかは改革する必要は出てくるとは思います。ただ、現状では番組の調子がいいだけに、新しいことにチャレンジする必然性がなく、作り手側の世代交代が進んでいないように見える。これが後に足を引っ張る可能性はあるかもしれません」

 今年4月、日本テレビの改編率は、全日帯(午前6時〜深夜24時)3.1%、ゴールデン帯(午後7〜10時)0.5%、プライム帯(午後7〜11時)9.3%と、いずれも1桁。これは、極めて異例のことである。

 「変えない」という、逆の意味で挑戦的な日本テレビの決断が吉と出るのか、凶と出るのか。いずれにしても、今後の課題は番組のマンネリ化と、制作陣の世代交代が鍵になるのかもしれない。

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