話題の映画『カメラを止めるな!』上田監督 借金まみれホームレス同然からの大逆転
7/28(土) 14:30配信 朝日新聞デジタル&[アンド]
https://www.asahi.com/and_M/articles/SDI2018072766021.html
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180728-00010009-asahiand-ent

各映画館で満席が続く映画「カメラを止めるな!」(27日、東京・池袋シネマ・ロサで)
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上田慎一郎監督
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37分のワンカットは、6テイク目で成功した
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6月23日の公開以来、常に満席状態が続いている映画『カメラを止めるな!』。公開当初は2館のみの上映だったが、口コミやSNSでたちまち話題となり、今後全国で100館以上での上映が決定している(7月28日現在)。

37分のワンカット・ゾンビサバイバルから始まる本作。しかし、ただのゾンビ映画ではない。
綿密に張り巡らされた伏線と、テンポのいい笑いのエッセンスが巧みにちりばめられたエンターテインメント作品なのである。

メガホンをとったのは、本作が長編映画デビューとなる上田慎一郎監督。脚本、編集も手掛ける彼に、これまでの軌跡をインタビューした。

■「無名×低予算なのに……」ではなく“だからこそ”できた傑作

監督・俳優養成スクール「ENBUゼミナール」のシネマプロジェクト作品として制作された『カメラを止めるな!』。
制作費300万円という低予算、さらにキャスト全員がまだ無名の俳優だ。“34歳の新人監督”は、「みんな無名だったからこそ、この映画は出来上がった」と断言する。

「キャストはオーディションで選んだ12人。経験も少ないし、技術面も完璧じゃない人ばかり。だったら演技と本来の自分との境目をなくしてしまえと思って、彼らの個性そのものをあてがきにして脚本を書きました。
それに無名なキャストだからこそ、先の展開が読めないし、観ている人に親近感を持ってもらえたのかなって。
だって広瀬すずさんや菅田将暉さんが出てたら『あ、どうせ最後まで生き残るだろうな』って気持ちで見ちゃうし、遠い世界の出来事のようで自分事化しにくいでしょ(笑)」(上田監督)

低予算で撮影時間も限られている。そんな厳しい条件下で臨んだ冒頭シーンの撮影は、無謀ともいえる37分ワンカット。撮影はトラブル続きだったそうだ。

「全力で挑んで手が届くか届かないかギリギリのところを攻めなきゃ、という思いがありました。
カメラを回しているときも“ガチのトラブル”はたくさん起こりましたけど、それがいいライブ感となり、もう2度と撮ることができない特別なものになったと思っています」

シネマプロジェクト始動から約半年後、ようやく完成までこぎつけた上田監督。関係者向けの試写会で確かな手ごたえを感じていたと振り返る。
その後の6日間限定のお披露目上映でもチケットはソールドアウト。この時点ですでに映画好きや業界の人の間で話題となっており、都内2館での劇場公開も決定した。

■「最悪な事態だってコメディーにすれば最高なものに」

少年時代から映画やマンガなど、たくさんのエンターテインメント作品に触れてきたという上田監督。
中学生のときから自主映画を撮り始めたものの、20歳を超えたあたりにそれが止まってしまう。

「いずれハリウッドに行くことになるだろうと、地元の滋賀を出て大阪にある語学の専門学校に通い始めたんですけど、3カ月くらいで中退してしまって。
だったら次は東京に行くしかない! と思ってヒッチハイクで東に向かったんです。金髪姿で『宇宙一の映画監督になる』と掲げたボードを持ってね。今から14年前、20歳のときのことです」

宇宙一の映画監督になるため意気揚々と上京した上田監督。しかし、東京で詐欺に遭ってしまい、借金もかさんで一時期はホームレス同然の生活を送っていたという。

「ねずみ講みたいなのにだまされて200万円の借金ができました。素直すぎなのか『これやったら映画が作れるよ』みたいな言葉にひっかかりやすかったんですよねぇ(苦笑)。
当時はどん底だったか? いや、そうでもないです。僕自身、めちゃくちゃ楽天的で、こういう出来事もブログに書いて笑いのネタにしていましたし、だれかに楽しんでもらえたらそれでいいと思っていました。
最悪な事態だって視点を変えればコメディーに変えられるって、この時に学んだのかもしれません」

>>2以降に続きます。