なんでこうなるかねえ。4月スタートの「石橋貴明のたいむとんねる」。石橋とミッツ・マングローブがゲストを迎えて、「ちょっと前のアレコレ」について語るもの。「とんねるをぬけるとそこはノスタルジーだった……」で始まる懐かしさがウリの番組だ。この3月で「とんねるずのみなさんのおかげでした」が終了。功労金代わりに、与えられた番組なのだろうが、そんな天下り番組が面白いわけがない。演者のテンションもダダ下がりだろうし。だからこそ、作り手が頑張らなくてはいけないのに、頑張ったのはキャバレー風のセットだけ。

 第1回工藤静香「イケイケだった80年代テレビ業界」、第2回DJ KOO「新宿ディスコ・フィーバー伝説」、第3回千原ジュニア「あしたのジョーの細かいとこ」、第4回柳沢慎吾「俺がビビった!大物芸能人」、第5回東国原英夫「貧乏でも楽しむ方法」と、すべて見たが、大半が自分たちの若い頃は?って自慢話に終始。毎回、上司と飲みに行ったら延々、昔の武勇伝を聞かされる部下のような苦い気持ちになる。

 同じ昔を懐かしむ番組でも、昨年9月に終了してしまった小堺一機の「かたらふ?ぼくたちのスタア?」はよかった。コンセプトは同じなのに、この違いは小堺と石橋のキャラクターの違いか、腕の違いか。今となっては、たいむとんねるを抜けて「かたらふ」を戻してほしい。

 筆者はとんねるずとほぼ同世代だが、ちょっとも共感できない。たしかにバブルの時代を生きていたはずなのにディスコもボディコンも無縁でバブルの恩恵を一切受けなかった自分と、芸能界の中心でブイブイ言わせていた石橋との違いを今さらながら見せつけられ、ムカムカしてくる。

 「夕焼けニャンニャン」や「翔んだカップル」などなどゲストにまつわる昔の映像は懐かしいので、それだけ見せてくれないかなあと思う。お喋りが邪魔って、トーク番組として致命的。石橋は体育会系なだけあって、年上に対してはいつも礼儀正しい。だから石橋よりも年上のゲストを招き、彼が聞き役に徹すればまだ見られると思うが、それなら石橋でなくてもいい。

 さすがにこれではマズいと気づいたのか、第4回からはちょっと気になる懐かしいアレコレを検証する「こつぶとんねる」というコーナーが始まったが、これとて「ラテカセ」や「フード自販機」を紹介するというありがちな企画。

 懐かしさを人質に、テレビに立てこもる石橋。成増のおふくろさんが泣いてるぞ、ってことで、今月のダラクシー賞を贈る。

■ライター紹介
ひやま・たまみ 昔を懐かしむといえば、TBSの「テレビ探偵団」は面白かった。懐かしのテレビ番組やCMで盛り上がる番組。復活して欲しい番組ベスト5に入る。

06月28日 13:00
https://news.goo.ne.jp/article/galac/entertainment/galac-20180627105527172.html