東京五輪のマラソンコースにはほとんど日陰がなく、熱中症のリスクが懸念される。午前7時にスタートしたとしても、コースの約8割で熱中症患者が急増する「厳重警戒レベル」を超える暑さになるとの研究結果もあり、選手だけでなく観客も含めた熱中症対策が必要となる。

 樫村修生・東京農業大教授(環境生理学)らの研究チームは2012〜15年の7月24日〜8月9日の気象データを利用し、大会期間中のマラソンコース上の「暑さ指数」を5キロごとに試算した。暑さ指数は気温や湿度、日射などを考慮して熱中症の発症リスクを示すもので、指数が28度を超えると熱中症患者が急増するとされ、環境省は激しい運動は中止するよう求めている。

 試算によると、午前7時にスタートした場合、東京都港区の増上寺(25キロ地点に相当)付近を除くコースの約8割で平均28度を超えるという。スタートを午前6時としても暑さ指数の状況はさほど変わらず、午前5時に早めると平均28度超の区間は2割に減った。樫村教授は「熱中症対策としては、午前6時より前のスタートが有効だ」と指摘する。

 選手以上に対策が求められるのは観客だ。折り返しコースで往路と復路の2回、選手の走りを見られる機会があるため、長時間、沿道に待機する観客が多くなるとみられる。樫村教授は「観客は日傘と帽子を併用してほしい。コース沿いにある商業施設は早めに開店し、観客がクーラーで暑さをしのげるようにするなど工夫してほしい」と話した。

 大会組織委員会によると、マラソンの開始時刻は7月に決定する見込み。開催地立候補時点では午前7時半を予定していた。【斎藤有香】

5/31(木) 17:23配信 毎日新聞
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