00013倍理論 ★
2018/04/18(水) 21:01:38.39ID:CAP_USER92013シーズンの常盤木学園は、夏冬ともに全国大会でPK負けを喫した。伊藤美紀(現・INAC神戸レオネッサ)ら卒業する3年生を含めたチームは、選手権終了後、海外遠征に出かけている。向かった先はフランス。常盤木卒業生の熊谷紗希がプレーするオリンピック・リヨンの敷地内で練習は行なわれた。
恩師と後輩のところへ顔を出した熊谷を見て、阿部由晴監督が言った。
「紗希はワールドカップで優勝のキックを決めているんだ。世界一のキッカーに、PKの蹴り方を教えてもらえ」
伊藤らは「PKのコツを教えてください」と常盤木の先輩にせがんだ。すると熊谷は、後輩を前にボールをセットした。
「『こういう時には思い切りが大切だ。チョロチョロ蹴って外すよりも、思い切り蹴って外したほうがいい』って言って」(伊藤)
世界一を決めたキックと同じように、大きなフォームから思い切り足を振り抜いた。ボールはゴールの枠を外したそうだが、熊谷の「成功、失敗を考えるより、思い切りやることが大事なんだ」という教えは、後輩たちの胸に落ちた。
女子アジアカップで得たチケットで、来年のフランス女子ワールドカップに挑むなでしこジャパン。ドイツ大会優勝メンバーはともかく、これに続く経験の浅い若手にとって、最も必要なことは、まさに「失敗を恐れることなく、自分のプレーを思い切り出し切る」ということだろう。
世代交代に挑んでいる、現在のなでしこジャパンの主将に、失敗を恐れない大胆さ、積極性を持つ熊谷は適任だ。
この女子アジアカップでは、6失点を喫した「アルガルベショック」を払拭するため、コンビを組む市瀬菜々(ベガルタ仙台レディース)、そしてボランチの阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)とのトライアングルで、中央に固い守備ブロックを構築。ベトナム戦、韓国戦と開幕2試合を無失点で乗り切り、チームに勢いを与えた。
オーストラリア戦でも、前回のゲームでハットトリックを喫したサマンサ・カーら、大きく、速い選手に自由を許さない。高倉監督就任後、取り入れられたフィジカルトレーニングも「その必要性は以前から、意見を出していた」熊谷は、空中戦から、カバーリングまで、鍛え抜いた力を存分に発揮した。ようやく、オーストラリアにゴールを与えたのは86分。先制点奪い終盤まで無失点に抑え込んで、日本の準決勝進出がほぼ間違いない状況を作り上げた後だった。
準決勝・中国戦は前半の楽勝ムードから一転、逆襲にさらされたが…
手応えを感じつつ終えたグループステージ最終戦から、準決勝の中国戦では、最終ラインで2枚、さらにゴールキーパーまで代えた。しかも、そのうちのふたりは、今大会初出場。負けたら終わりのノックアウトステージでも、新たな挑戦を試みる指揮官には、ディフェンスリーダーとして、苦情のひとつも言いたくなるところだ。
試合では、前半の楽勝ムードから一転、後半からネジを巻いてきた中国の逆襲に晒され、ピンチが続く。だが、ここでも、横山久美(フランクフルト)の勝負を決する追加点が決まるまで周囲を助け、中国の攻撃を耐え凌いだ。オーストラリア戦同様、最後の最後で失点。中国に一矢報いるのを許したが、周辺状況を考えれば、仕方がないだろう。
次は、いよいよ、大会連覇がかかる決勝戦。対戦相手は、前回大会と同じオーストラリアだ。E-1サッカー選手権(東アジア選手権)では、最後の北朝鮮戦に敗れて優勝を逃した、新生・なでしこジャパン。同大会に不参加だった熊谷にも、初タイトルに立ち会うチャンスが訪れた。
3日後の決勝戦も制して、アジアカップを高々と掲げるキャプテンの姿が見たい。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180418-00039041-sdigestw-socc&p=2