4/16(月) 7:01配信
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“マイアミの奇跡”を知っているか?西野朗という男が胸に秘めるもの。

1996年アトランタ五輪、「マイアミの奇跡」。A代表では日本はいまだブラジルに勝利したことがない。 photograph by Katsuro Okazawa/AFLO
 西野朗新監督のもとで、日本代表が新たな体制を整えた。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督のもとでもスタッフを務めた手倉森誠コーチが留任し、U-21日本代表の森保一監督が日本代表のコーチを兼任することになった。

 2015年シーズンを最後にJリーグで采配を揮っていない西野監督が、かくも重要な局面で日本代表を指揮することへの不安があるかもしれない。12日に記者会見に臨んだ新監督は、技術委員長を務めてきた2年間も「感覚的には監督と同じように戦ってきた」と話した。

 同時に、「ゲームへの感覚は、(技術委員長と)監督ではまた違うと思うので、戻さなければいけないところはある。さらに研ぎ澄ましていかないといけない」と、自らの立場を冷静に分析している。期待のみが寄せられている立場ではない、との自覚があるのだろう。

 監督として残してきた実績も、ガンバ大阪を率いた2011年までに限られる。その後に就任したヴィッセル神戸と名古屋グランパスでは、これといった成果をあげられずにチームを去った。1996年のアトランタ五輪でブラジルを破る世紀のアップセットを演じたのも、すでに22年も前の出来事だ。

“マイアミの奇跡”の裏側。

 しかし、“マイアミの奇跡”と呼ばれるブラジル撃破こそは、西野監督がロシアW杯を戦ううえでの強みと成りうるものである。

 '96年夏のアトランタ五輪でブラジル、ナイジェリア、ハンガリーとの対戦が決まると、前園真聖や城彰二らの主力選手たちは「ブラジルにも勝ちにいく」と意気込んだ。

 攻撃陣を中心に広がっていく意欲的な姿勢は、メディアにも波及する。「28年ぶりの五輪出場を決めた史上最強のチームなら、ブラジル相手にもそれなりに戦えるはずだ」との論調が、なかば既定路線となっていった。

真っ向勝負を求める空気の中で。

 「ブラジルに勝つのは難しい」との現実的な意見も、もちろんあった。ただ、そうした意見は二段階で成立していた。

 「勝つのが難しいのなら、世界でどれぐらいできるのかを知るためにも、いつもどおりのサッカーをするべきだ」との願望が付随していたのである。根拠は様々だったものの、真っ向勝負を求める空気が醸成されていく。

 ブラジルは2年前のアメリカW杯で、24年ぶりの世界王者に返り咲いていた。左サイドバックのロベルト・カルロス、天才肌のMFジュニーニョ・パウリスタ、センターフォワードの怪物ロナウドらは、23歳以下の五輪世代でありながらフル代表に選出されていた。

 さらに、W杯優勝メンバーのDFアウダイールとFWベベット、のちにセレソンの主力となる24歳のリバウドが、オーバーエイジで加わっていた。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180416-00830513-number-socc
https://amd.c.yimg.jp/amd/20180416-00830513-number-000-1-view.jpg