サモアの首相であり、同国ラグビー協会のチェアマンも務めるトゥイラエパ・サイレレ・マリエレガオイ氏は11月6日、
自国メディアの『サモアオブザーバー』に対し、ラグビー協会は破産したことを明らかにした。「銀行に借金を
返すことができず、選手に給料を支払うための資金も必要だ」。また、サモアラグビー協会には選手の保険料を払う
お金もないと述べ、一般市民に寄付を呼びかけている。

サモアラグビー協会は長年にわたり莫大な負債を抱え、『サモアオブザーバー』によれば、2015年には100万サモアドル
(約4500万円)に達し、2017年現在は半分まで減らしているというが、苦しい状況は続いている。

サモアでテストマッチやスーパーラグビーなどビッグゲームが開催されることは少なく、代表戦がおこなわれる
アピアパークでさえ最大収容数は約1万5000人で、週当たりの平均給与が1万5000円前後ともいわれるサモアでは
試合チケットを高額にするわけにもいかず、協会が財政難である要因のひとつだ。

サモア出身でイングランド代表となったマヌー・トゥイランギは、英国メディアでサモア選手のお金事情について話し、
「彼らは1991年と同じか、それ以下の給料しかもらっていない。そんなラグビーチームを育てることはできない」と
主張している。

組織には変革が求められ、国際統括団体のワールドラグビーはサモアラグビー協会のガバナンス(統治)の問題を
示唆している。

サモア代表は今週土曜日にマレーフィールドでスコットランド代表戦、18日にブカレストでルーマニア代表戦、
25日にトゥイッケナムでイングランド代表戦を予定しており、実施できるかどうか心配されたが、ワールドラグビーは
影響はないと発表。サモア協会から財政問題を報告されたワールドラグビーは、すべてのサモア代表選手の保険料を
カバーし、2017年のサモア協会ハイパフォーマンス・プログラム用に組んでいた150万ポンド(約2億2500万円)の
投資額の一部として、代表チームのキャンプ費用と航空券代の支払いを引き受けると明言した。

また、ホストユニオンもサモア代表の支援を約束している。

ホスト国は試合の入場料収入を相手チームと分割する義務はないが、イングランドラグビー協会のスティーヴ・ブラウンCEOは
サモアラグビー協会から支援を求めるアプローチがあったことを明かし、伝えられているところでは、イングランドラグビー協会は
昨年遠征してきたフィジーに対して財政的支援をしたように、サモアラグビー協会に対して親善のしるしとして7万5000ポンド
(約1100万円)を提供するという。スコットランドラグビー協会も、サモア代表がスコットランドにいる間の費用をカバーする予定だ。

サモア代表選手はいくらか身銭を切るかもしれないが、ワールドラグビーやホストユニオンの支援により、試合出場給は
支払われると思われる。

さらに、イングランド代表でプレーするサモア出身のマヌー・トゥイランギとトンガ系のマコ・ヴニポラは、代表のチームメイトに
出場給の5%をサモア選手に寄付するようお願いしている。

イングランド代表選手がトゥイッケナムでテストマッチをおこなった際の出場給は、1試合につきひとり2万2000ポンド(約330万円)
支払われるのに対し、相手のサモア代表選手は650ポンド(約10万円)と言われており、英国メディアによれば、それぞれに
1000ポンド(約15万円)を寄付する計画だという。

ちなみにサモア代表は、ワールドカップ2019日本大会のオセアニア予選で最下位となり、まだ出場権を獲得しておらず、来年6月に
ヨーロッパ予選2位チームとのプレーオフ(ホーム&アウェイ)に臨むこととなっている。そこで勝てば、本大会は日本代表と一緒の
プールAに入る。

http://rugby-rp.com/column.asp?idx=112203&;page=1&code_s=10061001