強豪の野球部員が連係プレーでおばあちゃんを助けた。中京学院大中京高校の硬式野球部員4人が10月24日夕方、高校そばの岐阜県瑞浪市土岐町の国道交差点で、立ち往生した軽乗用車からお年寄りの女性運転手を外に出し、車を押して移動させた。国道は通行量が多く、事故になる恐れがあった。多治見署は、迅速な救助活動だったとして、署長名の感謝状を出す方向で調整している。

 4人はいずれも3年生で、夏の岐阜大会まで主将を務めた西脇大富選手(18)、副主将だった西川颯真選手(17)と饗場丈仁選手(18)、捕手の儀保海星選手(18)。儀保選手が下校途中、火花を出しながらゆっくり走る軽乗用車を見つけた。車は故障のため交差点前で動かなくなり、饗場選手が110番した。運転手の女性はとても動揺していて、儀保選手が手を引いて車から降ろし、歩道まで誘導した。儀保選手は「追突されたり、車が爆発したりする危険があったので、一刻も早く安全な場所に移動したかった」と振り返る。

 車は片側3車線の中央に止まっていて、近所の人から円すい形のコーンを借り、車の後ろに置いて交通整理した。通りかかった西脇、西川両選手に声を掛け、4人は野球で鍛えた体力を生かし、車を20メートルほど押して安全な場所まで動かした。西脇選手は「監督からいつも、先を読んだプレーをし、野球を通して成長しろと言われていた。3年間やってきた成果が出た」と話した。

 学校に翌日、運転手の女性から「怖かった。助けてもらい、何とお礼を言っていいかわからない」と電話があった。松下邦雄校長は「当たり前のことを勇気を出しやってくれ、誇りに思う」と言い、4人に校内の善行賞を出す。

 中京学院大中京は、甲子園に春5回、夏6回出場の強豪で、4人のうち2人は2年生だった昨夏の甲子園に出場した。【中村宰和】


11/7(火) 9:37配信 毎日新聞
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