プロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)で、レギュラーシーズン3位のDeNAが
日本シリーズに進出した。1位広島との14.5ゲーム差をひっくり返した史上最大の「下克上」。
盛り上がるファンがいる一方で、「広島のシーズン独走優勝がかすんでしまう」と不満もくすぶる。
CSはどうあるべきか。【福永方人】

 「下克上」をやってのけたDeNAが最後に日本シリーズに出場したのは、横浜時代の1998年。
当時横浜の監督だった野球評論家の権藤博さんは取材に、CSへの苦言を呈した。
「1年間戦い続ける大変さを考えれば、シーズンでどれだけゲーム差がついても敗者復活と
なり得るというのはおかしい」。広島とDeNAのゲーム差を踏まえ、広島に同情している。

 2012年にシーズン2位だった中日は、10.5ゲーム差をつけられた1位巨人とCSで対戦した。
権藤さんはこの時、中日の投手コーチだった。「勝つために必死だったが、自分たちがここにいていいのか、
とも思った」と振り返る。「セ・パ12球団中6球団が日本シリーズに出られる可能性があるなんて、
どう考えても理にかなわない。1位にアドバンテージを与えるくらいなら廃止した方がいい」とまで言う。

 前オリックス球団本部長の瀬戸山隆三さんは「下克上は面白いし、ビジネス的にも成功している」
と現状維持派だ。CSのルーツであるプレーオフの導入がパで議論された当時はダイエー球団代表。
「レギュラーシーズンの優勝チームが日本シリーズに出られなければ、1年間戦った価値は何なのかという
話になる」と反対した。

 しかし「人気のセ、実力のパ」と言われた時代。巨人戦のテレビ放映権料に経営を支えられていた
セと違い、テレビ中継も少ないパは年間30億〜40億円の赤字を出す球団が多かった。順位が固まる
シーズン終盤の「消化試合」が減り、観客増が見込めるとしてプレーオフの導入に踏み切り、
興行的に成功。CSへと発展した。

 瀬戸山さんは「CSの存在で、3位以内に入る可能性がある球団ではファンの興味が持続し、
最大数億円の増収になる」と明かす。「現状のアドバンテージでも上位球団の優位性は十分にある。
ルールを変えるのではなく、レギュラーシーズン優勝の重みをきちんと評価することが重要です」と話す。

 このほかシーズンで2位に10ゲーム以上の差をつけた独走優勝の場合にはファイナルステージの
アドバンテージを2勝にする、といったルール変更を求める声も球界にある。とはいえ、28日に始まる
日本シリーズの行方からは目が離せない。

毎日新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171026-00000126-mai-base