どんなトレーニングでも妥協せず、厳しく取り組む姿勢が、目に見える結果になって表れたとき、人はそれを「勝負強さ」と呼ぶのかもしれない。

 天皇杯ラウンド16は、浦和レッズ対鹿島アントラーズという昨季のチャンピオンシップ決勝と同じ顔合わせになった。

 埼玉県熊谷市で行われたゲームは、金崎夢生の2ゴールで鹿島が先行し、浦和がズラタン、武藤雄樹のゴールで追いついたものの、中村充孝と土居聖真のゴールで突き放した鹿島が4-2で勝利し、連覇に向けてひとつコマを進めた。

 2点のアドバンテージを守り切れなかったのは鹿島らしくなかったが、浦和に傾いた試合の流れをすぐに断ち切り、勝ち越したあたりはさすがだった。

「2−2になったあとの、要所の集中力が……」

 浦和の同点ゴールから5分後の74分、浦和陣内で鹿島がスローインを獲得する。伊東幸敏が投げ入れたボールをレオ・シルバがワンタッチで落とし、土居がワンタッチでゴール正面にパスを入れると、フリーになっていた中村充孝がこれまたワンタッチでゴール左隅に蹴り込んだ。

 「練習でもスローインの受け方はやっていた」と明かしたのは、この日4ゴールすべてに絡んだ土居である。スローインから、わずか4秒――。狙いどおりの形で鹿島は決勝ゴールをもぎ取ったのだった。

 浦和からすれば、終了間際に奪われたダメ押し点もさることながら、追いついた直後に、スローインからあっと言う間に取られた決勝ゴールのダメージは、大きかった。

 「2-2になったあとの、要所の集中力というか、鹿島のほうが試合運びに関してうまいと感じましたね……」

 そう振り返ったのは、堀孝史体制になってから出場機会を増やしている矢島慎也だ。この日は58分から出場して流れを変え、2点を追いついた場面も突き放された場面もピッチで迎えただけに、思い知らされたものが多いようだった。

 「今の浦和は、サッカー的にはどんな相手にもやれていると思うんですけど、セットプレーでの失点が多い。この前の磐田戦もセットプレーでやられているし……。細かいところのマークの受け渡しとか、マークの浮きとか、突き詰めていかないと。そういうのは、練習の一つひとつから始まると思うし……。鹿島がどういう練習をしているのか分からないですけど、僕は岩政大樹さんとやっていたので――」

つづく

9/22(金) 13:11配信 number
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