1年でのJ2復帰を目指す北九州。現在地の7位はもちろん受け入れがたく、この後半戦で着実に順位を上げ、12月3日の最終戦までには2位以内に入らなければならない。「アクションを起こした試合を目指したい」。そう決意を語ったのは復帰を目前にする前田和哉だ。

北九州で5年目のシーズンはリハビリからのスタートとなった。昨季終盤戦で左の側副靭帯を負傷し手術。キャプテンの座を池元友樹に譲り、今季は治療に専念してきた。「ゲーム体力はやっていかないと戻ってこないが、それは仕方がないこと。やっていくしかない」という状況にあるものの、今夏の中断期間中に全体練習への合流を果たした。もっともセンターバック陣では西嶋弘之や鈴木翔登、ボランチから転向の加藤弘堅などが並び、公式戦への復帰には時間が掛かるかもしれない。ただ、チームの束ね役としての存在感は大きく、J2に導く作業に欠くことはできない。

8月上旬は今や懐かしささえ覚える本城陸上競技場で練習やトレーニングマッチを実施。心地よく汗を流した前田は「チームの雰囲気はいいと思う」と笑顔を浮かべた。その一方で北九州の置かれた現状に満足はなく、「一人一人がやるべきことをやる。そういう姿勢がないと先の話には進めない」と引き締めた。

前田の目から見て今年のチームはおとなしい。「もっと要求し合う気持ちを出せば、もっともっと良くなっていく。それはみんなに言えること。試合に入る、練習に入る、そういうところでの気持ちはまだまだ足りない」。今季の試合で見られる連係ミスや窮屈そうなプレーはそれも一因だろう。「今年はアクションを起こした試合をしていきたいとシーズンに入った。でも、まだまだアクションサッカーはできていない」と語気を強め、「厳しさを求めたい」と強調した。

今節は藤枝をホームに迎える。初対戦となった前回のアウェイゲームでは図らずも気持ちの面での弱さが露呈。良さを見せられず0-2と苦杯を喫している。藤枝戦に向け、チーム内でも「ホームでしっかり勝って強さを見せつけたいし、次の試合に繋げていきたい」(花井聖)と気持ちは高ぶっている。J3リーグを乗り切るには、藤枝をはじめJ3リーグの戦いを熟知するチームに勝ち続けなければならず、前田の言う「厳しさ」を試合内外で表現したい。

「チャレンジしていきたくても、やるべきことをやらなければチャレンジはできない」。チームのネガティブな意味での静けさに、前田は今、風を起こし、白波を立たせ、イレブンを内面から動かそうとしている。リアクションからアクションサッカーへ。浮沈のカギを、5年目の背番号5、前田和哉が握る。


文:上田真之介(北九州担当)


明治安田生命J3リーグ 第19節
8月19日(土)18:00KO ミクスタ
ギラヴァンツ北九州 vs 藤枝MYFC

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