「周りからはおもんない(おもしろくない)と言われますよ」−。関西弁でにこやかに話すサッカーJ2ファジアーノ岡山のGK一森純選手(26)は、新“守護神”としてこれまで16試合に出場。スーパーセーブでスタジアムを沸かせていますが、「納得できた試合は一つもない」と淡々とリーグ前半戦を振り返りました。日々、サッカーへの準備を怠らないというストイックな私生活を紹介してもらったほか、サッカーを始めたきっかけやピッチでのコーチングについても語ってもらいました。

−7月2日に誕生日を迎えられたということで、おめでとうございます。

 ありがとうございます。(3−0で勝利した水戸戦の)翌日には応援してくださるみなさんから、たくさんプレゼントをいただきました。サポーターのみなさんが前日の勝利を喜んでくれたのがよかったですね。

−リーグは後半戦に入りましたが、一森選手はここまでの出来をどうみていますか?

 正直、納得できた試合は1試合もありません。自分のプレーで勝利につなげられる試合も何試合かありました。ミスもかなりあるので、そこばかりに目がいってしまいます。しかし、良くなるチャンスがたくさん転がっているというふうに捉えているので、しっかり向き合いたいと思います。

−チーム全体としてはどうですか?
 
 負けてはいないながらも引き分けも多く、波に乗れていないというのが正直なところです。しかし「自分たちとは」という部分が徐々に明確になって、調子は上向きになっていると感じています。

−「自分たちとは」というのはどういったことですか?

 勝った試合やうまくいったとき、「こういう状態が自分たちのサッカーだ」というイメージをチーム全体で共有できています。このスタイルをやり続ければチャンスは広がってくると思います。サッカーにはこうすればよいという正解はありません。バルセロナ(スペイン)のようにパスをつないで、ポゼッション(ボール支配)率を高めるサッカーも正解だし、アトレティコ・マドリード(スペイン)みたいに全体で守備をするサッカーも正解だと思います。全員で同じ方向を向いていくことが大切です。

−どういったプレーが得意ですか?

 シュートストップです。昨季までゴールを守っていた中林洋次選手(現J1広島)はシュートストップが印象に残る選手でした。僕自身もそのレベルに追い付きたい、そして追い越して自分の持ち味も出して、チームのプラスになるようになりたいです。

−これまで印象に残っている試合があれば教えてください。

 横浜FC戦(5月21日、2−1で勝利)は落ち着いてプレーできたと思っています。(相手に)シュートを打たせないことが大切なのですが、つぶし切れずにフリーになった時、慌てずに中の状況を見て、相手が1枚、ディフェンスは何枚、自分との距離は、シュートは…そういったことを落ち着いて分析でき、スムーズにジャッジできたことで止められました。

−どんな性格だと思っていますか?

 不器用ですね。あれをやりながら、これもやるということができないです。私生活はサッカーへの準備が占めていますね。

−サッカーの準備とは?

 オフの日は体を完全に休めるのではなく、筋トレをしたり、走ったりしています。食事も食べたいものを食べるというという感じではないです。気を抜かないというか、気が休まらないです(笑)。オフシーズンも同じで、シーズンが終わった瞬間に来シーズンのことを考えています。始動日に向けてプランを立てています。

−いつからそういう生活に?

 中学のとき、セレッソ大阪のジュニアユースに入ってからです。スタッフからの要求も高く、食らいついていくためには練習だけでは無理だと思ったところが大きいですね。オンとオフがはっきりできる性格なら楽だと思うのですが、それがなかなかできません。何回かチャレンジしたのですが、逆にそれがストレスになってしまって…。

 次の練習のために食事や体の準備をして臨めば、自信になるというか、やっていてよかったと思いますしね。オフを完全に休んでしまって、きつい練習で細かい部分にフォーカスしていくことができなくなるのは嫌ですから。

−話は変わりますが、試合中に手ぶりや声で選手たちに指示をしていますよね。どんなことを言っているのですか?