2020年東京五輪・パラリンピックの開催費用負担を巡る問題で、東京都や政府、大会組織委員会は31日、都外の開催自治体との連絡協議会を都内で開催し、分担の大枠について合意した。焦点となっていた都外自治体の運営費負担は約350億円に圧縮に。警備や会場への輸送は、開催自治体が担うとした招致段階の「立候補ファイル」の原則が確認されたが、肝心な負担額の割り振りなどについては今後の協議に先送りされた。

 「大きな一歩。地は固まった」。会議終了後、東京都の小池百合子知事が口にした。

 組織委の森喜朗会長が「秘密裏にしたと疑いをかけられる」と提案し、急きょ報道陣にも全て公開にされた会議。焦点は都外会場の運営費だった。都は、関係自治体の負担額を当初想定した計400億円から350億円まで圧縮して29日に各自治体に提示。だが前日30日には、埼玉県の上田清司知事が「到底受け入れることはできない」、神奈川県の黒岩祐治知事も「何の数字か分からない」と試算の根拠を疑問視するなど、各自治体から相次いで拒否された。

 合意文書は反発を受けての“妥協案”だった。最新の試算では、開催費用総額を1兆3850億円とし、都と組織委が6000億円ずつ、国が1500億円を負担する。小池知事は、「都は開催都市としての責任、役割を果たしていく。『立候補ファイル』『大会開催基本計画』をベースに、役割分担、費用負担に関する考え方を共有する」と説明。丸川珠代五輪相も「国も地方の財源確保に、必要な支援を担当していく」と明言した。経費分担表から関係自治体の覧は削除。輸送や警備費などの約350億円の負担金額は、今後の「整理・精査」とされた。

 各自治体からは歓迎の声が挙がった。「ほぼパーフェクトに近い」と評価した黒岩知事は、丸川五輪相の発言にも言及し、「各自治体が大きな負担をしなければいけない事態はなくなったと受け止めている」。上田知事も「大会運営についてはわれわれに迷惑は掛けないという趣旨と理解している」と述べた。千葉県の森田健作知事は「元に戻った」と安堵した上で、小池都政の五輪計画見直しにも混乱の責任はあるとし、「協力県が右往左往することばかり起きるのは止めてもらいたい」とくぎを刺した。

 負担額の割り振りという最大の難題は棚上げされたまま。だが、とにもかくにも、東京大会の準備態勢がスタートラインに立った。

サンケイスポーツ 6/1(木) 7:00配信
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