甲賀忍者は「悪」のイメージ高め 国際学会で愛好者ら研究発表

2022年9月11日 05時05分 (9月11日 05時06分更新)
https://www.chunichi.co.jp/article/542823?rct=shiga

国際忍者学会の第五回大会が十日、甲賀忍者ゆかりの地の甲賀市で、二日間の日程で始まった。初日は同市甲南町の甲賀流リアル忍者館で専門家や愛好者らの研究発表があり、百五十人が聴き入った。

 市地域おこし協力隊の福島嵩仁さん(37)は、甲賀忍者のイメージをテーマに発表した。忍者から思い浮かぶ地域を七百人にアンケートしたところ、
伊賀が57%、甲賀が14%という回答で「悪」のイメージは甲賀が二倍も高かったという。

 背景に一九八〇年代の映像作品やアニメでの甲賀忍者の描き方を挙げた。伊賀の敵で悪役とするパターンが多く、作品に接した世代が影響を受けたと分析。一方で年代差もあり、
忍びの漫画「NARUTO」などに親しむ三十代以下は、作品に甲賀忍者が登場しないため、特定イメージを持たない傾向があるとした。

 基調講演では、甲賀市で忍者の調査をしている磯田道史国際日本文化研究センター教授(51)が登壇。忍者の子孫宅で見つかった古文書から見えた江戸期の尾張藩お抱えの忍びの実態を紹介した。
「山伏の副業とともに尾張藩からの手当があり、格式は上層農民だった」と解説。戦国から江戸初期に重宝されたが、以降は諜報(ちょうほう)活動の機会が限られたとみられるという。