大津市のNPO法人が今月、ネット上で見知らぬ相手とやりとりできるSNSの危険性を知ってもらうため、ある実証実験をした。女子中高生らを装って交流相手を
募ると、開始数秒から返信が相次ぎ、9時間で160人に達した。「裸の写真を送って」など性犯罪に巻き込まれかねない内容が多く、
SNSの「闇」から子どもを守る難しさを裏付ける結果となった。(生田ちひろ)

 貧困や虐待などに直面する子どもの居場所づくりに取り組むNPO法人「こどもソーシャルワークセンター」が実施。社会福祉士の資格を持つ幸重忠孝理事長
(47)の監督の下、10〜12日夜の各3時間、スタッフが寂しさを抱えた小6、中2、高1の女子児童・生徒、中2の男子生徒という4人の設定で、
メッセージのやりとりや通話ができるスカイプに登録し、交流相手を募った。

高1の「あかり」が「家出した」と書きこんだ数秒後から「家に来る?」「車持ってるよ」などの返信が届き始め、開始約3分で17人に上った。小6の「みき」には
「お顔みせて」などの要求が相次ぎ、中2の「ひな」には、男性器の画像を送りつけてくる人がいた。

 結局、9時間で4人には計160人から接触があり、9割の142人が女子3人に集中。露骨な性的要求が大半を占めたほか、「遊びに連れて行けるよ」といった
書き込みもあり、実験に参加した女性スタッフ(24)は「深刻な悩みを抱えた子どもなら、ついて行きかねない」と表情を曇らせた。

 一方、「児童相談所に行った方がいいよ」「僕も家出した」など真剣に悩みを聞こうとするメッセージもあった。幸重理事長は「困難を抱えた子どもにとって
SNSは必要なツールの一つでもあり、むやみに取り上げるべきではない。実態を踏まえ、SNSを悪用できない仕組みを大人が考えなければならない」と話した。

 実験でセンターが参考にしたのは、4月に公開され、話題となったチェコのドキュメンタリー映画「SNS―少女たちの10日間―」。幼い顔立ちの女優3人が
12歳の設定でスカイプで友達を募ると、10日間で2000人超の成人男性が返信し、大半が性的要求だった。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20210918-OYT1T50140/