【独自】薬の「定価」7割で引き下げへ…市場価格に近付け社会保障費の伸び抑制

 政府は16日、2021年度予算案で焦点の一つとなっている薬の公定価格(薬価)について、全体(約1万8000品目)の約7割で引き下げ、社会保障費の伸びを1000億円余り抑える方向で最終調整に入った。17日に予定する麻生財務相と田村厚生労働相の閣僚折衝で決定する見通しだ。

 厚生労働省が12月に発表した調査結果によると、薬価は市場価格を平均で8%上回った。政府は市場価格よりも5%以上高い品目の価格を引き下げる方針だ。国民の医療費年43兆円のうち、薬剤費は約9兆円を占める。国は約4分の1を負担している。

 病院などが卸売業者から実際に買う医薬品の価格(市場価格)は、業者間の競争により国が定める薬価より低くなりやすい。これまで薬価の見直しは2年に1度行われてきたが、21年度分から市場価格を適切に反映して国民の負担を抑えるため毎年実施することになった。菅首相が重視しているテーマの一つだ。

 薬価の引き下げは国民負担が軽くなる一方、医療機関や調剤薬局にとっては収益の減少要因になる。全品目で見直しを求める財務省と、新型コロナウイルスによる経営悪化などを理由に対象を限定するよう主張する厚生労働省や日本医師会などが対立していた。

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20201217-OYT1T50016/


参考
https://answers.ten-navi.com/newsplus/14344/
https://ten-navi-prd-cms-img-481565300627.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/answers/wordpress/wp-content/uploads/2018/06/26cb499951371497904709a737892a0f.png
医療用医薬品の市場は、表向きは公定価格の形をとりながら、その裏では一般の消費財と同じように自由な価格競争が行われているところに大きな特徴があります。
医療機関や薬局は公定価格である薬価に基づいて薬の費用を請求する一方、製薬企業から卸、卸から医療機関・薬局に販売される価格は、当事者間で自由に設定することができるのです。
医療機関・薬局にとっては、卸からの仕入れ値と公定価格である薬価の差額はそのまま利益になります(これを薬価差益という)。
このため、医療機関や薬局は卸と交渉し、可能な限り安い価格で薬を仕入れようとします。