難航するリニア「JRのツケ」 3兆円融資の政権に誤算
https://www.asahi.com/articles/ASN6V7J0GN6SOIPE01Y.html

「大井川の水でつくられたお茶です」。
途中、川勝平太・静岡県知事は金子慎・JR東海社長に県名産の茶を勧め、そう説明した。
県は工事で大井川の水量が減ることに懸念が強いことを伝える演出だ。
JR側の説明を一通り聞くと「水の問題をおろそかにしないと聞いて安心した」と述べたが、
最後まで溝は埋まらなかった。金子社長は準備工事の着工を繰り返し求めたが、
川勝知事は話題をそらすような場面も目立った。

会談後、報道陣の取材に対し、川勝知事は工事着手について「とんでもない」と認めない考えを明確にした。
県の事務方も協定について「現時点で結べる状況ではない」として月内の着工は不可能と説明。
「27年開業」を掲げてきたJR東海へ、事実上の「延期通告」となった。

JR東海のリニア中央新幹線の開業が、目標の2027年から遅れる見通しが強まった。
総事業費は大阪まで含め9兆円。巨大事業に待ったをかけたのは、
環境への悪影響を心配する静岡県や大井川流域の自治体だ。
開業を待ち望む沿線や、後押しする政権にも誤算となりかねない。