投資アプリ利用の20歳が自殺 「−73万ドル」の残高に絶望

「収入のない20歳がどうして100万ドル近くのレバレッジを割り当てられたのか?」──これは今月12日、アレクサンダー・E・カーンズのパソコンで両親が見つけたメモに残されていた言葉だ。
カーンズはこの日、20歳の若さで自ら命を絶った。

米ネブラスカ大学の学生で、イリノイ州ネイパービルで両親と同居していたカーンズは、新型コロナウイルス流行の最中にロビンフッドのアプリを使い投資を始めた。
ロビンフッドはミレニアル世代をターゲットにした、手数料無料で手軽に投資ができるアプリで、新規ユーザーに対する無料株式プレゼントのキャンペーンも行っている。
カーンズのようにコロナ流行中に加入した人は多く、2020年第1四半期の新規アカウントは過去最多の300万件に達した。

新型ウイルス流行により株式市場が激しく変動する中、カーンズはオプション取引を始めた。パソコンに残された遺書には、「自分が何をしているのか全く分かっていなかった」と記されている。
カーンズが残した携帯電話のスクリーンショットには、マイナス73万165ドル(約7800万円)の現金残高が赤字で表示されていた。

ただこの額は、借金の額を示したものではなく、割り当てられたオプションがアカウントに反映される前の暫定残高だった可能性がある。
ロビンフッドはプライバシーを理由にカーンズのアカウントについての詳細を公表していないが、「ロビンフッド社の全員がこのつらい知らせに深く悲しんでおり、
週末に遺族の方々に連絡を取り、哀悼の意を伝えた」とコメントしている。

カーンズを自殺に追い込んだ全ての要因を知ることは不可能だが、彼の死はライトユーザー向け投資サービスで高まる競争に警鐘を鳴らすものだ。
ロビンフッドのほか、Eトレード、TDアメリトレード、チャールズ・シュワブ、インタラクティブ・ブローカーズ、フィデリティ、さらにはメリル・リンチまでが、
手数料無料・最低預かり額ゼロの投資サービスを提供し、証券や株式市場についての知識に乏しい若者層を取り込もうとしている。

■73万ドルの「負債」で将来を絶望

カーンズは10日夜に自身のロビンフッドアカウントを見て絶望したとみられる。そこには1万6000ドルの保有資産額が表示されていたものの、同時に現金残高として
マイナス73万165ドルという額も記載されていた。フォーブスが確認したカーンズの遺書には、マージン取引を許可したことは決してなかったと主張し、少額の元手で
これほど巨額の損失を生んだことにショックを受けたことがつづられていた。フォーブスの取材に応じたカーンズのいとこは、「彼は73万ドルのマイナスを見た時、
将来を台無しにしてしまったと思った」と語った。

(略)

カーンズのいとこは、「彼がそれほど大きな間違いをしたとは思えない。これはインターフェースの問題だ」と語った。「取引をゲーム感覚にして、それを投資と表現している」

ロビンフッドは「当社は常に自社プラットフォームの改善と、提供するオプションについて変更すべき点があるかどうかを判断するための見直しに努めている」と表明した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/04fd31fe5b2c2ef031daaf282d9dec9de71bdb47?page=1