福岡県桂川町の農家・古野隆雄さん(69)が、除草用の道具「ホウキング3号」を考案した。歯が針金製の熊手を改造したもので、畝の上で引くと雑草だけを根ごと抜ける。従来機を改良。ホウレンソウやゴボウ畑でも使えるようにした。他の草の芽が地表に出る前に取り除ける。
古野さんが種まき10日後のホウレンソウで試すと、約9割の雑草を退治できた。2000円で自作できる。

「ホウキング」は熊手からばね鋼の針金を切り取り、木材と組み合わせて作る。
雑草の根は作物よりも細く浅く張るため、針金の先で土をひっかくだけで取り除ける。作物は針金の間をすり抜け、傷まない。

従来機はホウレンソウやゴボウだと、雑草に比べて出芽や生育が遅いため、キンポウゲなど早く成長する草相手では取りこぼしが起きていた。作物も抜いてしまう課題もあった。

新型は、従来より1ミリ細い直径2ミリの針金の熊手を使用。角材に四つの穴を開け熊手の針金を通し、くぎで留める。この角材を八つ作り、同機の軸になる長板に固定する。計32本の針金で除草できる構造にした。針金は細いアルミパイプやホースで固定し揺れを最小限に抑える。

複数の細い針金が地中に入り込むため、従来より深い位置の雑草も抜ける。根が張った雑草も取り除けるようにした。一方で作物は抜けにくくなる。

古野さんは効果的な使い方について「雑草の生育状況をこまめに観察し、土中で雑草が発芽した時点で除草することが重要」と話す。

今後、新型はハウス栽培の白ネギで株間除草試験を進める。既に一定の成果を確認した。ネギも雑草に比べ初期生育が遅く、従来機では株間除草が困難だった。19年は雑草の取りこぼしが発生。手作業で2週間かけて除草する手間がかかった。

古野さんは「除草に負担がかかる有機栽培では大きな成果だ」と話す。今後、ニンジンやシュンギクなどでも試験。安定して除草できる品目を増やす。「あらゆる農家の役に立つ技術にしていきたい」と意気込む。

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