◆「家賃下げろ!」で大家が悲鳴「こっちだって大変なんだ!」

 東京・大田区で総戸数11のアパートを経営する山村義之氏(仮名・65)がため息まじりに話す。

「今のところ(減額の)要請はないが、新型コロナが長引けば当然、声を上げる人が出てくるだろう。
『減額しなければ出ていく』と言い出す人もいるかもしれない。そうなれば、こっそり“おたくだけ”というわけにはいかず、アパート全体の家賃を下げざるを得なくなってしまう」

 山村氏が大家になったのは10年前。父の死をきっかけに、経営していた飲食店を廃業。
今年で築40年になるアパートを相続し、その1部屋に妻と90歳を超える母の3人で暮らしている。
賃貸用の10部屋はいずれも2Kで月額6万5000円。すべて満室なら単純計算で月65万円の家賃収入となるが、現実はそうはいかないという。

「年間800万円近い上がりがあれば、老後はわずかな国民年金でも十分にやっていけると考えていた。
だが、老朽化したアパートは毎年のように修繕費で100万円単位のお金が消えていく。固定資産税も年間70万円ほどかかる。
この10年間の稼働率は平均して7割程度。1年以上、空室になっている部屋もあり、収益の改善は見込めない」(山村氏)

 5年前、外壁修繕のため土地を担保に借り入れた1500万円のローンも重くのしかかる。月々の返済額は20万円近い。

「いま、賃貸物件は“借り手市場”になっている。周りにある築浅の物件も、入居者確保のため家賃を下げているから、相場は下落する一方。
1この先、経済悪化を理由に“家賃減額は当然”といった空気が醸成されると大家の立場はますます弱くなる」(山村氏)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200516-00000001-moneypost-bus_all
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