新型コロナウイルスの感染拡大で、実用化が期待されるワクチン。開発に成功すれば製薬企業は
世界中で市場を手に入れることができる。それだけでなく、国の科学技術力の高さを示し、
人類を救うことにもつながるため、各国政府や民間団体は製薬企業を巨額の資金で後押しする。
いまや世界規模の開発レースが始まっている。

 しかし、日本の製薬企業は、「スタートライン」にすら立てていない。

 新型コロナウイルスのワクチン開発は、かつてないスピード感で進んでいる。
通常、ワクチン開発には5年以上かかるといわれているが、今回のワクチン開発の多くは
1〜2年以内の実用化をめざしている。

(中略)

 一方、日本でもまったく動きがないわけではない。活発なのは大阪の企業や大学だ。
大阪大学発のバイオベンチャーのアンジェスは阪大とワクチンを共同開発していくと発表。
大阪の研究所やベンチャーも加わり、吉村洋文知事も「7月から大阪府内で治験を開始する」と意気込む。
また、阪大は阪大微生物病研究会(BIKEN財団)とも共同研究していく。
東京では、国立感染症研究所や東京大学医科学研究所が研究に乗り出した。

 ただ、いずれも中小や大学、研究所ばかりで、大手の製薬企業はあまり積極的ではない。

 かつて日本はワクチン開発の最前線に立っていた。「日本近代医学の父」とたたえられる北里柴三郎は、破傷風菌の培養に成功し、血清療法を確立。
この研究からさまざまなワクチン開発につながった。1934年に大阪大学の敷地内に設置された現・BIKENグループは
世界で初めての水痘ワクチンの開発に成功。東西で日本のワクチン界をリードしてきた。

 ところが、最近はほとんど成果らしきものがない。近年も肺炎球菌ワクチンや子宮頸がんワクチンなど、海外から輸入した「舶来もの」ばかりだ。
日本でワクチン産業が落ち込んだ背景には、市場の不確実さがある。とくに難しいのが副反応問題だ。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/554ac203b9bdd059fea9753b059f1d8dd62d3d8f