新型コロナの新規感染、中国以外が9割に WHO

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【ジュネーブ=細川倫太郎】世界保健機関(WHO)は2日、直近24時間で新たに確認された新型コロナウイルス感染者のうち、中国以外から報告された数が全体の9割に達したと発表した。記者会見したテドロス事務局長は日本や韓国など4カ国が「我々の最大の懸念だ」と指摘した。目先の焦点は中国以外の国での感染をどう抑制するかに移ってきた。

WHOによると、同日午前までに新たに1804人の感染が確認され、うちイタリアが561人、韓国が476人、イランは385人だった。中国は206人にとどまった。

これまでに中国以外で感染が確認されたのは61カ国。累計の感染者数が最も多いのは韓国で、次いでイタリア、イラン、日本と続く。この4カ国で中国国外の感染者数の8割を占め、WHOは感染者が200人以上いる国について「懸念」と表現している。

WHOはここ数日で感染者が急増しているイランに支援チームを派遣し、2日に現地に到着した。感染状況を把握し、感染防止策についてイラン当局に助言する。検査キットなどの物資も届けた。

一方、テドロス氏は現在の状況についてパンデミック(世界的な流行)ではないとの認識を改めて強調した。根拠として感染者の9割が中国に集中していることなどを挙げた。その上で「証拠が整えば、パンデミックと表現するのはためらわない」と話した。

韓国については5つの小規模な感染者の集団「クラスター」から広がっていると分析し、流行の抑制ができているとの見方を示した。ただ、新型コロナは感染力など不明な部分が多く、テドロス氏は「未知の領域にいる」と話した。「封じ込めは可能だ」とも繰り返し、個人や企業にただちに感染防止拡大に向けた対策をとるように促した。