ネットで否定派が目立っても、PCに「Office」がバンドルされ続ける理由

 ユーザーからは「いらない」という声が多数上がっているにもかかわらず、新製品が発売されると必ず付いてくるオプションと言われて、何が思い浮かぶだろうか。
 例えば日本マイクロソフトの2in1 PC「Surface」のコンシューマー向けモデルをはじめ、国内PC市場の店頭向けモデルには、永続ライセンス版の「Office 2019」が大抵バンドルされてくる。
 「Office 365」のサブスクリプション契約などで既にOfficeのライセンスを持っていたり、あるいは価格が上がる要因になるOffice自体が不要だったりするユーザーは少なからず存在するわけで、ネットでは新製品のニュースが流れる度に「またOffice付きか」という声が上がるが、改められる気配はない。
 これに限らず、不要なものが必ず付いてくるという、作る側と買う側のミスマッチはどのように起こるのだろうか。販売店側の事情、そしてメーカー側の事情、それぞれについてみていこう。

●実はほとんどの人がOffice付属モデルを求めている
 ネットにおける「Officeバンドルはいらない」という声は大きい。にもかかわらずOfficeがバンドルされる理由は、単純明快、メーカーも販売店も、さらには大多数のユーザーも、それを求めているからだ。
 リアル店舗で買い物をするユーザーの数は、今なおネットで買い物をするユーザーに比べて多数を占めるが、その多くは「全部入り」を求めるユーザーだ。ディスプレイ一体型デスクトップPCが飛ぶように売れた90年代半ばから、この傾向は変わっていない。ほとんどの人にとっては、PCは買ってすぐ使え、かつOfficeも入っているのが最適解なのである。
 また販売店も同様に、そうしたオールインワンの商材を好む。なぜなら、後から「アレが入ってないじゃないか」と客に難癖を付けられる可能性を低減できるからだ。販売店の側もまた、こうした手離れのよい商材に慣れすぎてしまっている。
 もし「Officeなし」という選択肢があれば、販売店としてはそれも店頭に並べざるを得ないが、選択肢そのものが存在しなければ、そうした問題も発生しない。客単価も上がるので一石二鳥だ。指名買いの多い商材であれば、それを理由に他の選択肢に逃げられる可能性も低い。
 また全モデルにOfficeがバンドルされていれば、ラインアップが少なくて済むのも好都合だ。ただでさえ、メモリやストレージの違いで複数のモデルがあるところに、Officeなしモデルが追加になれば、ラインアップが単純に2倍にふくれ上がる。そうなると販売店もメーカーも在庫リスクが増えるし、選び間違いも起こり得る。Officeバンドルで統一しておけば、そうしたリスクも回避できる。

https://news.infoseek.co.jp/article/itmedia_pcuser_20200229010/