新型コロナの影響で「全便運休」航空会社は何カ月で倒産するのか
https://news.livedoor.com/lite/article_detail/17797138/
■「全便欠航」なら現預金だけで維持できるのは2カ月弱
--ANAは3月28日まで中国本土への運航本数を週165往復便から週81便に半減させると発表しました。JALも運航本数を週98便から週43便に減らします。航空会社にとって「運休」には経営面でどのようなダメージがありますか。

ダメージはとんでもなく大きいです。飛んで初めて売上が立つ、それが航空業です。飛行機が飛ばなければ、売り上げは激減で、人件費と機材費という固定費だけが出ていきます。運休の期間が長引くほど、経営へのダメージも大きくなります。

■倒産する航空会社が出てきてもおかしくはない
--「感染症」のようなリスクは、航空会社にとって深刻なリスクということでしょうか。

売上ゼロで追加借り入れがなくても当社の場合は4カ月強はもつわけですから、現状でリスクに備えた経営ができているといえると思います。

一方、航空会社によっては、リスクに備えたくても備えられない経営状況であることが少なくありません。たとえば、多額の借入金を抱えて、厳しい運賃競争をしながらギリギリの状態で経営している会社もあるでしょう。そのような会社に予想のつかない事態が起きれば、経営はかなり厳しい状況に追い込まれることになります。

--感染者数がもっと増えれば、航空会社の倒産も起きるのでしょうか。

国内外を問わず借入金の多い航空会社は少なくありません。あくまで一般論ですが、新型コロナウイルスの流行が長期化すれば、資金繰りに行き詰まって倒産する航空会社が出てきてもおかしくはないと思います。

しかし、リーマンショックやバブル崩壊など、社会や経済を変える大きな変化は何年か何十年かに一度は必ず起きます。企業はそれを受け止めるしかありません。備えのある会社は残り、強い会社が勝つ。それがビジネスです。

■「飛び恥」は「移動をするな」という意味に等しい
--世界の移動ということでは、グレタ・トゥンベリさんの抗議活動をきっかけに、「飛び恥」という言葉がトレンドになっています。
飛行機での移動は環境負荷が大きいという指摘です。イギリスのロックバンド・コールドプレイは、グレタさんに賛同して「飛行機に乗らない」という宣言までしました。航空会社のトップとしてどう受け止めていますか。

私はそうした行為に完全に同意することはできません。特に、グレタさんに続く一連の抗議活動はパフォーマンス的に見えます。

飛行機に乗らなくてもいい移動について、移動手段を見直すということなら賛成です。ですが、飛行機でなければ行けない場所はたくさんあります。飛行機が飛ばなくなったら世の中はまったく変わってしまいます。

「飛行機を飛ばすな」という主張は、「移動をするな」という意味に等しいことです。これは人類が素早い自由な移動によって、どれだけ大きなものを得てきたのかを考えると、全面的に受け入れることはできません。
たとえば海外にも行くなという声も聞かれますが、海外を旅して、他国の状況を知れば、自国の状況を客観的に理解できるようになり、個人としてもまた文明それ自体にもその進歩をうながすのだろうと思います。