■物理法則ギリギリの速度で回転、X線が届く時間差による「反響マッピング」

 昨年、ブラックホールを人類史上初めて直接撮影した画像が公開された。そのおかげでわれわれは、あの怪物の口のような穴の周辺には何があるのかを、目で見て確認できるようになった。
そして今回、天文学者らは、X線の“エコー”を利用した技術を用いて、ブラックホールをさらに詳しく観測することに成功。その成果が1月20日付けの学術誌「Nature Astronomy」に発表された。

 観測対象となったブラックホールは、地球から約10億光年離れた「IRAS 13224-3809」と呼ばれる銀河の中心にある。
この超大質量ブラックホールは、数百万℃のガスなどが回転する円盤に囲まれ、また中心からは10億℃を超えるX線コロナが噴き出している。
このX線がどのように振る舞うかを描くことによって、科学者らは、ブラックホールの「事象の地平線(光さえ逃れることができない領域との境界)」周辺の、極めて詳細な地図を作成した。

「ブラックホールは光をまったく放出していないため、これを研究するには、物質がその中に落ちていくときに、どんな振る舞いをするかを観察するしかないのです」。
論文の筆頭著者である英ケンブリッジ大学のウィリアム・アルストン氏はそう述べている。

 今回の観測結果は非常に正確だ。その精度は、昨年ブラックホールの写真を撮影した「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT:事象の地平線望遠鏡)」も到底かなわない。
おかげで科学者らは、IRAS 13224-3809の中心にあるブラックホールの質量とスピンについて詳しく知ることができた。

 質量とスピンは、ブラックホールの進化を解き明かす重要な手がかりとなる。もし、付近にあまた存在する超大質量ブラックホールの一群を同じように観測できれば、銀河の成長についてより多くのことがわかるかもしれない。

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