大学入試センター試験が18、19両日に実施される。現行の試験は今回が最後となり、来年度からは後継となる「大学入学共通テスト」に移行する。
後継テストの柱の一つだった英語民間試験の活用は、へき地の受験生の大きな負担になる可能性が指摘され、延期に追い込まれた。
ただ、こうした課題はセンター試験にもある。今年、都心まで海路で片道24時間かかる小笠原諸島(東京都小笠原村)の受験生は、
定期船が運休するために1カ月近く島へ戻れない。【大久保昂】

 12日、港区の竹芝桟橋。小笠原諸島・父島から約1000キロの航海を終えて接岸した貨客船「おがさわら丸」から下りてくる乗客の中には、
都立小笠原高校3年の生徒らの姿があった。

 6日後のセンター試験を受けるため、試験前の最後の便に乗って都心へとやって来た。生徒たちが自宅へ帰れるのは、早くても2月8日。
センター試験直後の1月20日から、島へ渡る唯一の手段である同船が18日間運休するからだ。

 キャリーバッグを引いてきた同高の男子生徒(18)は、大阪府内で受験するという。本土で足止めとなる間に滞在する祖母宅の近くの会場を選んだ。
竹芝から息つく暇もなく次の目的地へと向かう男子生徒に「大変だね」と声を掛けると、苦笑いを浮かべうなずいた。

 週に1往復ほど運航するおがさわら丸は例年、1月下旬〜2月上旬に年1回の検査で約2週間ドック入りするため、センター試験で島外へ出ると、
20日間以上帰れないケースがこれまでもあった。今年は船舶の排ガス規制の強化に合わせた改修が重なり、例年よりドック入りが長引き、
島の受験生は船中泊も含めて28泊29日の「受験旅行」を強いられることになった。

 小笠原高校によると、受験生の多くは、本土の親族宅に身を寄せてきた。小笠原村は交通費や宿泊費を補助する制度を設けている。
ただ、教員の一人は「家族や友達と長い間離れて受験するのは精神的負担が大きい。本土の受験生と同じ条件とは言えない」と話す。

 都や村、海運会社は来年以降、ドック入りの期間中は代替船を就航させる方向で調整しており、小笠原の受験生の長期外泊の問題は、
センター試験が終わるのと同時に解消されそうだ。

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https://mainichi.jp/articles/20200115/k00/00m/040/041000c