「働き方改革関連法」が順次施行

 「働き方改革」という言葉をよく聞くようになりました。「カロウシ」(過労死)が国際共通語になってしまうほど、
日本人は働き過ぎといわれます。その是正の一歩として、2018年6月に成立した「働き方改革関連法」が、
2019年4月から順次施行されています。この法律によって、私たちの働き方や暮らしに、どのような影響があるのか、問題点は何かなどについて、
札幌弁護士会の迫田宏治弁護士に聞きました。(聞き手・報道センター 小林基秀)
――この法律の柱は何

 働き方改革関連法による法改正部分は多岐にわたりますが、このうち重要な改正部分は、(1)残業時間の上限規制を導入(2)
年5日の年休取得を企業に義務づけ(3)正社員と非正規の不合理な待遇差の解消−の3点です。これらは、労働者側に立った立法といえます。


――「正社員と非正規の不合理な待遇差を是正」とは

 『非正規』とは(1)パート(2)有期雇用(3)派遣の労働者を指します。正社員と非正規の業務内容が同じなら、待遇も同じにしなければならない、
ということです。『同一労働同一賃金』ともいわれます。また、業務が同じではないにしても、共通部分も多いなら、待遇差が不合理に大きいのもダメですよ、
ということです。例えば業務があまり変わらないなら、待遇が正社員の5割というのはおかしいですよ、という趣旨です。厚生労働省は、昨年12月、
具体的にどの程度の待遇差が不合理かを示すガイドラインを策定・公表しました。

――待遇差は非正規には分からないのでは

 はい。そこで今回の法律は、非正規が使用者側に正社員との待遇差、つまり賃金や福利厚生、教育訓練などにどのような差があるか、
その理由は何かの説明を求めることができるとしました。つまり使用者側に説明義務を課しました。これだけ非正規を包括的に守る諸外国の法律をみたことがありません
。これは労働者側には『武器』になるでしょう。
もし、使用者側が十分な説明をしなかったことで非正規に訴えられた場合、使用者にとっては不利な帰結となるでしょう。
――疑問を感じ、不合理だと思ったら

 1人でも会社側に説明を求めることができます。1人では聞きづらいと思うなら、非正規の仲間と一緒に要求してもいいですし、
職場で労働組合を結成することもできます。職場での組合結成が難しければ、会社が違っても1人でも加入できる各地域の労働組合『地域ユニオン』に入り、
使用者側と交渉する選択肢もあります。札幌弁護士会の法律相談センターの無料相談(予約制)を利用することもできます。
 各地の『法テラス』でも相談(収入等が一定額以下である方が利用でき、相談料は無料)できます。地域の労働局に相談することもできます。労働局は、
使用者と労働者の争いを、無料・非公開で話し合い、裁判をせずに解決する手続き『行政ADR』を行います。働き方改革関連法のうち、非正規を守る部分が施行される2020年4月からは
、非正規の待遇差に関することも行政ADRの対象になります。それでも解決しなければ、最終的には裁判を起こすことになります。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190914-00010001-doshin-soci&;p=4