沖縄県本部町の沖縄美ら島財団総合研究センターはこのほど、カツオ漁の生き餌となるミジュンを半自動的に捕獲、畜養できる「魚類捕獲装置」で特許を取得した。

従来、漁業者はカツオ漁の直前に人力でミジュンを捕獲していたため、省力化につながる。
2011年以来、大型船でのカツオ漁が途絶えている同町での実用化のめどは立っていないが、同財団は「技術を地域貢献のために使いたい」とカツオ漁の再興に期待している。

装置はいけす状で、下部といけす内部に青色発光ダイオード(LED)の集魚灯を備える。下部の強い光で魚を集めた後、下部だけ一定時間消灯することで、底部から魚を内部に導く。

取れた魚は網を絞り、人力で捕獲する。
試験では1晩設置して最大50キロ、1回のカツオ漁で使用する半量のミジュンが得られた。
15年2月に構造について特許申請し、今年3月に取得した。

利点として漁業者の労力削減のほか、生き餌を畜養できるため柔軟な出漁が可能になること、LED導入による省電力化などを挙げている。

本部漁協によるとカツオの水揚げ量はこの20年減少し、1995年の172トンに比べ、近年は40トン前後にとどまる。
同財団は2010年11月、町と同漁協と町水産業振興協議会を設立。財団の船で一本釣りの試験操業や、生き餌の安定的な確保に取り組んできた。

開発を担当した同センター動物研究室の岡慎一郎主任研究員は「畜養できる期間や他生物の混入、網の交換時期など実用化に向けて確認することも多いが、カツオ漁の再興に期待したい。取り過ぎに配慮しながら、ミジュン自体を水産資源として利用することも考えられる」と提案した。

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