三相分卷整流子電動機は所謂誘導機の1種である。誘導電動機の二次回路に,抵抗を挿入して
二次端子間に或る電壓を保たせるか,又は低周波發電機による或る電壓を興える事によつて
速度制御を行い得ることは周知の通りであるが,三相分卷整流子電動機は之れと同一の
原理に基いて,誘導電動機の二次回路に任意の調整電壓を與えて速度制御を行うように
したもので,普通の誘導電動機と異る所は周波數變換作用を有する整流子を備え,これにより
電源周波數の調整電壓を滑り周波數(二次周波數)に變換して之れを二次線輪に添加する
ようにしたものである。

元來三相分卷整流子電動機は主として歐洲で發達したもので,等が古くから獨逸,瑞典,佛國
等で製作され我國では主としてシュラーゲ型が製作された,此のシュラーゲ型は回轉子
給電型で速度制御に必要な調整電壓を自給出來る構造となつているが,他の4つの型は
總て固定子給電型で調整電壓は別個の變壓器又は誘導電壓調整器からとるようになつて
いる。この1,アイヒベルヒ型と2,ラクール型の兩型は速度制御に變壓器タップの切替を要する
ので,速度制御が段階的になる事とタップ切替裝置が厄介になる爲,我國では製作されな
かつた。3,双子誘導電壓調整器を有するアイヒベルヒ型と4,AEG型は共に誘導電壓調整器
により圓滑な速度制御を行い得るけれども双子誘導電壓調整器は相當大なるものとなり,
又AEG型は誘導電壓調整器の回轉子の回轉と刷子ロッカーの回轉を連動せしめねばならぬ
不便があるので此の兩型共殆んど我國で製作されなかつた。

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