【ソウル=桜井紀雄】韓国に暮らす元慰安婦で、日本政府に謝罪や賠償を求めて活動してきた
金福童(キム・ボクトン)さんが28日夜、死去した。支援団体が明らかにした。がんの闘病中で
92歳だった。慰安婦問題をめぐる2015年の日韓合意の破棄も強く訴えていた。支援団体は
「数多くの慰安婦被害者の象徴」だったとしている。

 別の元慰安婦女性も28日に死去しており、韓国政府が認定する存命の元慰安婦は23人となった。
2月1日に出棺式が行われ、ひつぎはソウル中心部を通って日本大使館前に運ばれ、
告別式が予定されている。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は29日、遺体が安置されたソウル市内の病院を弔問した。
これに先立ちフェイスブックに投稿した追悼メッセージで、金さんの活動をたたえ、
「歴史を正しく立て直すことを忘れない。存命の被害者23人のために道理を尽くす」と、
慰安婦問題に取り組んでいく姿勢を強調した。

 金さんは1940年代に中国や東南アジアで慰安婦生活を強いられたとしている。92年に
慰安婦だったことを公表し、世界各地で証言活動をしてきた。日本にある朝鮮学校の生徒らに
寄付も行った。

 文氏は昨年1月、入院中の金さんを見舞い、日韓合意で慰安婦問題は解決していないとの
立場を示した。
https://www.sankei.com/world/news/190129/wor1901290028-n1.html