名産焼酎から肥料=「かす」利用し菌培養−学生が開発、商品化・熊本

焼酎かすを使った光合成細菌の培養方法を開発した崇城大大学院工学研究科2年の古賀碧さん。持っているのは培養キットの「くまレッド」
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 地元名産の米焼酎を製造する過程で生じる廃棄物を使い、農作物の肥料となる微生物「光合成細菌」を安価に培養する方法を熊本県の学生が開発した。
蔵元にとっては廃棄物処理費用の軽減につながる利点もあり、商品化して販売を始めた学生は「微生物の力で環境を守りたい」と熱意に燃える。

 開発したのは崇城大(熊本市西区)大学院工学研究科2年古賀碧さん(24)ら4人。
古賀さんは2016年、県内の人吉球磨地域の名産品である球磨焼酎の蔵元と共同で若い女性向けのリキュールを作った。
その際、原料米をアルコール発酵させた「もろみ」を蒸留した後に残る「焼酎かす」と呼ばれる液体を処理するのに、28の蔵元で年間計約4億円も掛かると知った。

 同年4月から研究を進め、この液体には光合成細菌を培養するのに適したクエン酸が豊富に含まれていることを突き止めた。
同大で光合成細菌の研究をする宮坂均教授の助言も受け、約1年間研究を続けた。

 光合成細菌は土壌に散布すると作物の成長を促す働きがある。
細菌と液体の最適な組み合わせを求めて約100パターンの試行を繰り返した結果、3組で培養に成功。
その後も、安定培養ができるよう、濃度など成分調整に苦労したという。

 光合成細菌の効果は作物により収量増や品質向上などさまざまだ。
古賀さんらの試算では、稲作農家の場合、化学肥料の使用量半減や収量増などで一反(約1000平方メートル)当たり約9万円の増益になるという。
蔵元側も「焼酎かすは産業廃棄物で処理に費用が掛かるため、再利用はありがたい取り組みだ」(同県湯前町の豊永酒造代表者)と評価する。

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