(社説)戦後73年とアジア 未来へ向け記憶を紡ぐ

日本が戦争に敗れて、きょうで73年を迎えた。

この歳月を経てなお、日本はアジアでの和解を成し遂げていない。日中両政府の関係が上向くにつれ、
表面上は見えにくくなっているが、民衆の間では複雑な感情が今も広く残る。

侵略や植民地支配の記憶という「負の遺産」の風化をこのまま待つという姿勢では、未来志向の関係は
築けない。アジア太平洋で日本が果たすべき役割を考え、積極的に貢献することも和解の歩みに必要だろう。

政府が、そして社会と個人がそれぞれの立場から、平和への発信を強めていきたい。

■危機の予感が現実に

「私に一つの危機の予感がある」。終戦を上海で迎えた作家の堀田善衛は1959年、将来の日本と中国の
関係について、そう書いた。

歴史認識などをめぐる「双方の国民の内心の構造の違い」が、「ちょっと想像出来ないようなかたちの危機を
もたらすのではないか」と案じた。日本の中国侵略を経て、「われわれの握手の、掌(てのひら)と掌のあいだには
血が滲(にじ)んでいる」とも。

※NGワード回避のため2つに分けます

https://www.asahi.com/articles/DA3S13635834.html