「全国最下位」を抜け出せ 最低賃金上振れに地方の争い
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34088790T10C18A8EE8000/?n_cid=TPRN0003
改定後の全都道府県の最低賃金
https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0810/3434106451/20180811k0000m040148000c2_thum800.jpg

今年10月をメドに改定する全国の最低賃金が決まった。47都道府県の引き上げ額は時給24〜27円。
熊本や沖縄など23県で国の審議会が示した引き上げの目安額(23〜27円)を上回った。
少しでも最低賃金を高めて若者の都市流出を防ごうという狙いに加え、
「全国最下位」から抜け出そうとする地方間の争いが最低賃金の上振れを広げた。

「結果的に全国最下位になってしまった」。鹿児島労働局の担当者は落胆する。
10月に同県は最低賃金を24円上げ、時給761円とする。それでも2002年度の沖縄県以来、
16年ぶりに単独の最下位となってしまう。

現時点の最低賃金をみると、熊本や大分、沖縄など8県が最下位グループとして
737円で肩を並べている。最下位グループの中ではこれまでそれぞれが
単独の最下位とならぬよう、他県の動きを強く意識してきた。

ところが今回は違った。鹿児島を除く7県がサッカーのオフサイドトラップをかけるかのように、
そろって25円の引き上げを決めた。国の目安に2円上乗せしたのだ。
鹿児島が引き上げ額を決めたのは8月6日。同じ最下位グループの熊本と大分が25円の
引き上げを決めた後の時期で、決して他県の動向が分からなかったわけではない。
引き上げ額を上積みする負担を受け入れられなかったのが実情だ。

鹿児島の議論では2円上乗せについて「県内情勢を考えると厳しい」といった意見が出た。
労使ともに受け入れ可能な水準だったのが「目安額プラス1円」だった。
最下位グループの他県が「目安プラス2円」で足並みをそろえるとまで読み切れなかったフシもある。