【ソウル=桜井紀雄】韓国検察は23日未明までに、巨額の収賄などの疑いで、元大統領の李明博(イ・ミョンバク)容疑者(76)を逮捕した。ソウル中央地裁が22日、検察が請求した逮捕状の発付を認めた。韓国大統領経験者の逮捕は4人目。収賄罪などで公判中の前大統領、朴槿恵(パク・クネ)被告と2代続けて大統領経験者が同時期に刑事責任を問われる事態となった。

 逮捕状発付の審査では通常、容疑者本人の審問が行われるが、李容疑者が出席を拒み、地裁は書類だけで審査。「証拠隠滅の恐れがある」などとして発付を認めた。検察がソウルの自宅で逮捕状を執行し、ソウル東部拘置所に収監された。

 李容疑者は、容疑の大半を否認し、今回の捜査を文在寅(ムン・ジェイン)大統領の左派政権による旧保守政権への「政治報復だ」として強く反発してきた。李容疑者は22日、フェイスブックに「誰かを恨むというより、全ては私のせいだという心情で、自責の念を感じる」との自筆のコメントを掲載した。

 李容疑者は2008〜13年の大統領在任中、情報機関の国家情報院から裏金を上納させたり、李容疑者が事実上の所有者と検察側がみる会社の訴訟費をサムスングループに肩代わりさせたりするなど、計約110億ウォン(約11億円)の賄賂を受け取った疑いが持たれている。韓国メディアによると、検察は約350億ウォンの横領のほか、脱税や職権乱用など計十数件の容疑で逮捕状を請求した。

 李容疑者は14日の取り調べで、国情院からの資金受け取りについては、対北朝鮮工作に充てたとの趣旨で一部認めたとされる。
https://www.sankei.com/world/news/180322/wor1803220044-n1.html