岐阜城バリアフリー化遠く 登山道幅狭く急な所も
https://www.gifu-np.co.jp/news/20180723/20180723-59777.html


名古屋市が進める名古屋城天守閣の木造復元事業を巡り、障害者団体がエレベーターの設置を求めて市と対立しているが、岐阜市の金華山山頂にある岐阜城も登山道は階段が続く上、城内にエレベーターはなく、車いすではたどり着けない。
登山道が急勾配であることや工事費が高額と見込まれることから、岐阜市はバリアフリー化に消極的で、市肢体不自由児者父母の会の安藤光昭会長は「市を代表する岐阜城を障害者も近くで見たい。市には障害者のことも気にしてもらい検討してほしい」と話している。

 平城の名古屋城に対し、岐阜城は標高300メートル以上の山頂に建つ山城。麓からはロープウエーを使用すれば車いす利用者でも山頂近くまで行けるが、山頂駅から城まで約300メートルの登山道には階段が続き、城にたどり着けない。

 山頂部のバリアフリー化を巡っては過去にも何度か声が上がり、2000年には市議会で取り上げられた。市は登山道の幅が狭く、急な所もあるため困難との認識を示している。

 地元財界が動いたこともあった。一昨年、織田信長の岐阜入城450年の節目を前に、エスカレーターの設置やトンネルを掘ってエレベーターで天守へ行く方法などを提案。だが工事費の試算額は18億〜25億円と高額で、現在は検討もされていないという。

 城までの登山道周辺では、今秋から新たな発掘調査が始まる。市教育委員会社会教育課は「発掘作業を多くの人に見てもらいたい。バリアフリー化は大事なこと」と理解を示すが、岐阜城跡は国史跡のため登山道の変更には文化庁の許可が必要といい、課題は多い。

 城は4階建て。現在、耐震診断が行われており、今後改修など整備方針が検討される。城には階段しかなく、市はバリアフリー化について「検討するなら多くの関係者と、山麓のロープウエーに乗るところからトータルで考えないといけない」(城を管理する市観光コンベンション課)と慎重な姿勢だ。

 名古屋城へのエレベーター設置を求める市民団体の近藤佑次共同代表は「高齢者も増え、障害者だけの話ではない。岐阜市は当事者から話を聞くなどして改善するべき。文化財にすべての人がアクセスできる流れができれば」と話している。