●「法の抜け穴をどう埋めるかということなのだ」
川上氏はまず、公式ブログ上で、みずからの立場を「出版社という権利者としてだけでなく、規制される可能性を心配すべきかもしれな
いウェブ事業者でもある」「政府の知財本部では本部員として、今回の緊急対策にいたる重要な会合の多くに出席した」と説明。その
うえで、政府の決定に至る経緯について「いくつかの偶然が重なった奇跡的なことだ」としている。

ブロッキングそのものについては、「現実問題として、海外の悪質な、確信犯的に運営されている違法サイトに対しては、ブロッキン
グしか対抗手段が原理的にありえないということは強調したい」「そしてインターネット業界がこのことを分かっているはずなのに回
避手段があるからと曖昧に誤魔化していることは、欺瞞であるとさえ思う」という評価をしている。

一方、ブロッキングを緊急避難と解釈することは、「あくまでも臨時的、かつ最後のものとするべき」「ちゃんとブロッキングの法的
な根拠を定めた立法化をおこなったうえで、違法かつ海外のサーバーで日本人向けのサービスをおこなっていて、連絡がとれないなど
の悪質のサイトにかぎり、裁判所の仮処分申請でブロッキングできるような環境整備をできるだけ早期におこなうべき」という考えを示した。

さらに、ブロッキングが「通信の自由」「検閲の禁止」「表現の自由」を定めた憲法に反するおそれがあると指摘されていることにつ
いては、「ブロッキングの根本の問題は、日本の法の及ばない海外のインターネットから、日本に住むユーザーへ違法サービスを提
供するという、法の抜け穴をどう埋めるかということなのだ」と持論を展開している。
https://www.bengo4.com/internet/n_7781/