http://news.livedoor.com/topics/detail/14492431/

本当は危険な「耳かき」の快楽。では、正解は?

「今日こそは未到の奥地をめざして……」

【写真】耳の専門家・木村百合香医師

 アマゾンの探検隊ではない。耳かきの話だ。

 人に耳を掃除してもらうことを好んで、お金を払ってそんなサービスを謳った風俗まがいの店に通う人がいる。

 中には、耳かきという行為そのものが病みつきになり、暇さえあれば竹の棒を耳に突っ込んで、ひょっとこのような表情で快楽をむさぼる人もいる。

 でもこの行為、医学的には危険なのです。

新たな収穫物を求めて深部へと挿入を試みる
 日に何度も耳の中を引っ掻き回すことを趣味やストレス解消法のようにしている人は、意外に多い。東京・大田区に住む落合真一さん(36=仮名)もその一人。

 妻に「我慢しろ」と言われても我慢できない。耳かき棒を隠されても、綿棒を使って耳を掻く。綿棒を隠されても、釘のアタマで耳を掻く。


こう語るのは、東京都保健医療公社荏原病院耳鼻咽喉科医長の木村百合香医師。

「耳かきが癖になっているのは、耳が痒いから。なぜ耳が痒くなるのかといえば、耳を掻き過ぎて“かゆみ物質”が分泌されて
いるから。外耳道に湿疹ができているのです」

 外耳道とは、耳の入口から鼓膜までを指す。耳垢が溜まるのは、このうち外側の半分あたりまで。ここを耳かきで引っ掻き回
すと、皮膚が薄くなって炎症が起きて痒くなる。痒い所を掻けば、当然気持ちいい。だから耳かき行為はやめられない。でも、
どこかで悪循環を断ち切らなければ、落合さんのように血を見ることになる。

「耳の中には本来細い産毛が生えていますが、耳をかき過ぎている人の耳の中を顕微鏡で見ると、その毛さえ抜け落ちている。
医療的な処置としては、かゆみ止めや抗菌薬を塗ったり飲んだりといったところですが、薬を使ったところで耳かきをやめなければ改善は見込めません」(木村医師)

 木村医師によると、耳垢にも役目があるという。それは耳の中に侵入してきたちりやごみの吸着と保湿だ。

「つまり、耳垢は耳に入ってきたちりやごみから外耳道や鼓膜を守っているのです。耳には自浄作用があって、耳掃除をし
なくても耳垢は奥から外へと自然に移動し、最後は剥がれ落ちる仕組みになっています。アメリカの耳鼻咽喉科学会では
『耳掃除はするべきではない』というガイドラインまで作
成している。耳そうじをすることで得られるメリットより、リスクのほうが大きい――と判断しているのです」(同前)そ
の執念は、何かの中毒患者のようでさえある。

 そんなに頻繁に掃除をされたら、耳垢とて溜まる暇もないと思うのだが、それが彼のさらなる探求心を掻き立てる。新たな収穫物(耳垢)
を求めて、前回より1ミリといわず、0.1ミリでも、0.01ミリでもと深部への挿入を試みる。


http://news.livedoor.com/article/detail/14492431/