「ビッグコミック」(小学館)で連載されている人気漫画『空母いぶき』(かわぐちかいじ作 協力・惠谷治)が防衛省・自衛隊でますます話題となり、
最近では「首相官邸が注目している」(自衛隊幹部)と指摘されている。

■近未来に中国軍と衝突

 空母いぶきのストーリーは、近未来に中国軍が奇襲攻撃で沖縄県の尖閣諸島や先島(さきしま)諸島を占領。
島民が拘束され、自衛官に犠牲者も出る中、いぶきは先島諸島海域に向かうが、行く手には中国軍の空母が立ちはだかり、
いぶきに搭載された戦闘機が中国軍空母搭載の戦闘機と対決する−といった具合に展開していく。

 冒頭ではまず、工作員とみられる中国人が尖閣諸島に上陸し、平時とも有事ともいえないグレーゾーン事態が描かれる。
次に訪れる事態では、中国艦艇などの動向ににらみを利かせるため日本最西端にある沖縄県の与那国島で
平成28年に運用を始めたばかりのレーダーサイトが中国軍戦闘機に爆撃され、有事へと発展していく。

 ある自衛官は「日中間で懸念される有事シナリオが提示されている」と話し、別の自衛官も「装備とその運用が緻密に描かれている」と評価する。
 「これは勉強になるから読んでおくように」
 部下にそう勧める幹部自衛官もおり、「自衛隊推薦図書」といっても過言ではなさそうだ。

■防衛相もお墨付き

 1度目の防衛相を務め終え、再登板前だった小野寺五典防衛相は雑誌『正論』の28年2月号の鼎談(ていだん)「人気漫画『空母いぶき』で考える決断と覚悟」で、
作品について「あまりにリアルで驚きました」と率直に語っている。

 海上自衛隊OBの伊藤俊幸氏も鼎談で、「自衛隊にかなりの協力者がいるのだろうなと感じました」とリアルさを認め、
「我が国が置かれた安全保障環境の厳しさや防衛問題を知るきっかけとして、ぜひとも多くの方に読んでいただきたい作品ですね」と話している。

 映画化されれば、さらに話題となり、伊藤氏が指摘するように啓蒙(けいもう)効果も期待される。。
http://www.sankei.com/premium/news/180324/prm1803240018-n1.html

来年には実写映画が公開される予定であることが発表
http://www.sankei.com/images/news/180324/prm1803240018-p1.jpg